昨シーズン最下位に沈んだ西武は、4月17日終了時点で借金が1つありながらも、パ・リーグ3位とここまではなんとか食らいついている。

 得点力不足は改善されておらず、ここまでの40得点はリーグ5位。しかし、明るい兆しも見えつつある。攻守に輝きを放っていたドラフト2位ルーキー・渡部 聖弥外野手(広陵大阪商業大)は離脱してしまったが、ネビンとセデーニョの両外国人にあたりが出はじめたのだ。

 そして、得点力アップに向けて打撃が期待されるのは、今シーズンから加わった3人だけではない。野村 大樹内野手(早稲田実)もその一人だ。

 野村は昨シーズン途中に交換トレードでソフトバンクから加入。自己最多の57試合に出場し、打率.225(178打数40安打)、5本塁打、OPS.716の成績を残した。出場試合数、打席数、本塁打数など多くの項目でキャリアハイを記録。今シーズンはレギュラー奪取を狙える位置につけていた。

 しかし、昨シーズンまでレギュラーを務めていた外崎 修汰内野手(弘前実富士大)が今シーズンからサードにコンバートされ、一塁には新外国人のネビンが座っている。また、指名打者もセデーニョと中村 剛也内野手(大阪桐蔭)という大砲ふたりが控えており、そこに割って入るのはなかなか難しい状況だった。

 そこで、昨シーズンまで一軍では一塁で出場していた野村が、今シーズンは春季キャンプから二塁での守備練習を多くこなし、実際にここまでも二塁での出場が続いている。野村は決して守備の上手いタイプではない。それでも、西口監督ら首脳陣が、コーナーポジションと比べ格段に難しい二塁に挑戦させているのは、その打撃力を高く評価しているからにほかならない。

 オープン戦で野村は出場機会が少なかったものの、打率.667(6打数4安打)と結果を残して開幕一軍スタートを勝ち取った。しかし、4月12日時点では打率.056(18打数1安打)と出遅れた。それでも4月13日の日本ハム戦では2打席連続ヒットを放ち、快音を響かせた。

 現時点で西口監督は、二塁を野村、元山 飛優内野手(佐久長聖東北福祉大)、滝澤 夏央内野手(関根学園)と併用し、競わせている。滝澤が守備で存在感を示している一方、野村、元山が打撃で結果を残し、レギュラー争いが活性化すれば、チームの底上げ、そして勝利へとつながっていく。ここから先も快音を響かせ、レギュラーを奪うことに期待がかかる。