期待値を超える戦績を残せるか
そんな宮地監督、そして松岡幸汰主将がまとめる現チームは、チームとしての仕上がりに課題を残したまま、秋を終えてしまったようだ。
「大会2週間前になって、自分を含めて4人の選手が呼ばれて、『話し合って、主将を決めてほしい』と監督から言われて話し合いました。そこで自分はBチームでも主将経験があったので、『自分がやる』と伝えて、やっと決まりました。
ただ先輩たちは、すんなり主将が決まって、主力メンバーなど中心メンバーが軸になって、周りのメンバーが支えてチームが出来ていました。けど、自分はそこまで手が回らず、リードすることが出来なかったので、チームを1つに出来ないまま大会に入ってしまった。だからこそ、自分やメンバーがしっかりやって、周りのメンバーについてきてもらわないといけないと思っています」(松岡主将)
この点については宮地監督も、「スタッフとも相談しましたが、なかなか決めきれなかった」とかなり悩んだ末に松岡主将たち4人を選んだようだ。それは先述したように、3学年を含めて「組織を整えたい」というチーム力を大事に思うから。
結果的に秋季大会は県大会出場を逃した。秋の段階ではチーム作りが間に合わなかったが、春以降へ期待は大きい。
「中部大春日丘との試合、点数だけを見れば延長10回、タイブレークまでもつれて敗れた。僅差の試合だったと感じると思いますが、正直、点差以上に差があるように感じています。
もちろん、体力や技術もそうですけど、精神的な部分。考えて行動をすることにおいては、点差以上に差があるように感じています。ただそれほど離れているとは思っていません。手が届くところにあると思いますので、オフシーズンの過ごし方次第だと思うので、期待もしています」
激戦区・愛知を勝ち抜く。そのための組織力だが、加えてポイントだと考えているのが投手力だという。
「新基準バットの導入で、勢力図が数年は変わる可能性があると期待しています。
というのも、今まで長打で得点出来たところが、そう簡単にできない。出来るだけ失点を抑えたほうが勝率が上がる。だから、しっかりと力のある投手を揃えている学校が勝ち上がっていると思っています。実際に秋季県大会で至学館が優勝して、3位には名古屋たちばなが入った。セカンド私学と称される学校が上位に勝ち上がったことは励みになったと同時に、チャンスだと思っています」
とはいえ愛知は激戦区。ライバル校は好投手を揃えている。それは宮地監督も理解しているから、「打者についても、しっかり140キロ台の速球も対応できる打力を整えないといけない」と投打の整備が春以降のカギになるようだ。
「正直、今まで当たり前のように出場していた県大会を逃して、ショックは大きかった」と松岡主将はじめ主力メンバーは感じた。しかし、その後の試合で、「成功体験を得ていく中で、チームの形がだんだん定まってきた」と自信を深めてきた。
自信を確信に返るべく、迎えた春季大会。地区予選では一次予選で中部大一にサヨナラ勝ちを飾るも、その後の二次予選で愛知私学4強の一角・東邦に延長10回タイブレークの末にサヨナラ負け。県大会出場を決めて収穫を得ながらも、同時に課題を残した。
ただ県大会初戦・刈谷工にも勝利を飾り、着実に秋からの成長を示した星城。さらなる上位進出、そして悲願の甲子園へ、松岡主将、そして若き指揮官・宮地監督たち星城の戦いに、今後も注目したい。