沖縄を皮切りに、2025年も高校野球の季節がやってきた。8月5日に開幕予定の夏の甲子園を目指して、全国各地の球児たちがここまでの野球人生のすべてをぶつける。この夏の主役になろうとしている選手たちの「今」を各チームの指揮官に迫った。

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春季大会を制した宮城岳幸監督率いる沖縄県立宜野座高校。県立高校としてパワーで勝負するのではなく、バントや進塁打などを駆使した堅実な戦いで頂点に立った。守備でも徹底した準備が功を奏し、相手の策を上回る試合運びを実現。夏の大会に向けても、「自分たちのスタイル」を貫く姿勢は揺るがない。チームを支えるエース新垣元基、四番・漢那崇を中心に、次なる頂を目指す。

今回は宮城監督に優勝の秘訣と夏のインタビューをした。

相手に左右されない“自分たちの野球”

Q春季大会で優勝できた秘訣は?
本校は県立高校で、特別にパワーがあるチームではありません。だからこそ、バントや進塁打など“打つだけではない”部分を強化してきました。出塁・進塁・得点へどうつなげるかを徹底的に考え、ヒットが出ればもちろん良いですが、出た後に確実に送る堅実な野球を意識しています。
守備面では逆に、相手がバントを仕掛けてくることを想定し、牽制やフィールディングを重点的に練習しました。たとえば決勝の興南高校戦では、バント処理で二塁封殺に成功した場面が2回ありました。相手がその後強打に切り替えたことで、内野ゴロを併殺にする練習の成果も発揮できました。ランナーが出た場面ではゴロを打たせる投球・守備を徹底し、失点を最小限に抑えたことが、勝ち上がれた要因だと思います。

Q春季大会後のチームのテーマは?
九州大会では、西日本短大付と対戦しました。スピードに自信がある新垣元基投手が県大会では抑えられても、九州大会では甘いボールを打たれてしまいました。これまでは漠然と投げていた部分もあったので、夏に向けては制球力を強化。具体的には、「同じコースに10球連続で投げられたら次の練習へ進む」といったメニューを取り入れています。
打撃面では、「バットの芯にいかに多く当てるか」が課題です。ロングティーではスタンドに入れる力はありませんが、低く強い打球を意識。30メートル先にネットを置き、そこに向かって打つことで実戦に近い感覚を養っています。

Q夏の大会でのキーマンは?
エースナンバーを背負う新垣元基が大黒柱として安定した投球を見せられれば、強豪がひしめく沖縄でも十分に勝機はあると思います。打撃では四番の漢那崇がキーマンです。チームで唯一長打が打てるバッターで、彼の前にランナーを溜めて、プレッシャーを与える展開をつくりたいです。この二人が夏の大会のカギを握っています。

Q夏の大会への意気込みは?
春の大会で自分たちの戦い方を確立できたことが大きな収穫でした。精度の高い攻撃を常に追求してきたので、相手によって戦い方を変えるのではなく、自分たちが積み上げてきたスタイルを徹底して発揮することで、どんな相手にも勝負できると信じています。今はその完成度を高めることに集中しています。

沖縄県立宜野座高校野球部宮城監督、そしてチームの皆さん、ありがとうございました。
夏のご活躍、応援しております!