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未来の日本のエースになれる逸材・高橋宏斗

2022.11.08

未来の日本のエースになれる逸材・高橋宏斗 | 高校野球ドットコム
高校時代の高橋 宏斗(中京大中京)

高校時代から世代トップクラスだった高橋宏斗のピッチング

 中京大中京(愛知)のエースとして、2019年の明治神宮大会優勝投手になった高橋 宏斗投手(中日)は、明徳義塾(高知)戦では10奪三振を記録し、百戦錬磨の馬淵監督からは「直球が松坂以上」と絶賛された。松井 秀喜内野手(星稜出身)や松坂 大輔投手(横浜高出身)などを見てきた馬淵氏に、お手上げされるほどの実力を高校2年の段階で持っていたことになる。

 高橋自身、探究心が豊かで、暇さえあればプロ野球選手のフォーム動画を見て研究しつつ実践していた。チームとして見ても、この世代は明治神宮大会を制した中京大中京が実力的に頭一つ抜けた強さを見せていた。ちなみに、新型コロナウイルスの影響で、春夏の甲子園が中止になったが、この世代の中京大中京は1年間無敗だった。まさに幻の最強チームだったに違いない。

 夏の大会の代替となる独自大会で当時最速となる154キロを記録した。さらに、延長戦に入っても球速は150キロ以上を記録しており、1試合ごとのスタミナがあることも見受けられた。この時のパフォーマンスを見ても、高橋がこの世代でトップクラスの投手だったことは間違いない。センバツの代替大会となった甲子園交流試合でも150キロ以上の直球にスラットを駆使して、翌年夏の甲子園準優勝を果たした打力に定評のある智辯学園(奈良)戦で好投した。この時の実力的には、新型コロナウイルスで練習不足が懸念されていたものの、直近で甲子園を沸かせた金足農(秋田)時代の吉田 輝星投手(日本ハム)よりは断然上のレベルで、星稜(石川)時代の奥川 恭伸投手(ヤクルト)と比較しても遜色がないレベルに見えた。高校時代のパフォーマンスを見るとたらればになるが、甲子園が中止にならないまま開催されていれば、中京大中京を甲子園優勝又は上位進出に大きく貢献した可能性は高い。そうなれば、ドラフト会議で競合していた可能性も高いだろう。

2年目で驚異的な奪三振率と日本代表に選出!ポテンシャルはホンモノ

 ドラフト1位で中日に入団。1年目は1軍の登板がなかったものの、2年目はオープン戦から好成績を残した。その結果、開幕1軍を果たす。勝ち星にはなかなか恵まれなかったものの、高い奪三振率(10.34)を記録。さらに規定投球回数こそ未到達ながらも、134奪三振を記録して、セリーグ3位の奪三振数の成績を残した。プロ入り後はさらなる成長を遂げて、最速158キロを記録。さらに、高校時代から投げていたスラッター、スプリットを駆使して、プロの世界でも打者を圧倒した。

 シーズンオフには来年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた強化試合の日本代表にも選出された。11月5日の日本ハムとの強化試合では、慣れない第2先発の役割として登板した。その第2先発の役割としても、3イニングを無失点に抑えるピッチングを見せた。

 今シーズンのオフにオリックス・山本 由伸投手(都城高出身)や、ソフトバンク千賀 滉大投手(蒲郡高出身)がメジャーに移籍し、メジャー組のパドレス・ダルビッシュ有投手(東北高出身)やエンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東出身)の招集が難しいとなれば、個人的には年齢など関係なく、高橋をWBC本大会において代表の先発ローテーションに入れていいと思っている。それほど、投げている球自体は球界全体で見てもトップクラスである。

 現在の課題としては、多くの若手投手にはありがちなシーズンをトータルで戦い抜く体力面である。今年に関しては、自身初のフルシーズンだったため、疲れが見えた試合などもあり、投げている球自体は波があり、圧倒的に抑えられる試合と打たれる試合の差が激しく見えた。この課題点を克服すれば、中日の次期エースとしてはもちろんのこと、日本を代表する投手になれると見ている。来年のWBCもさまざまな役割として期待されるが、その次のプレミア12やWBCでは中心投手としての期待も高くなるだろう。

(文=ゴジキ)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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