帝京にとって2020年はまさに勝負の年となった。昨秋の都大会では7本塁打を放った強力打線を掲げ、準優勝。センバツは惜しくも逃したが、9年ぶりの甲子園出場を目指し、冬の練習に入ったが、その内容はとてもハードだった。アップは体幹トレーニングを中心に取り組み、その後は投手が登板する実戦練習、夕方になると、ウエイトトレーニングやエルゴメーターなど器具を使ったトレーニングと、実技とトレーニングをしっかりと詰め込んだ内容だった。

 選手たちはモチベーション高く臨んでおり、前田三夫監督も「身体が大きくなっていて楽しみ」と高校野球シーズン開幕へ向けて準備をしていた。

 しかし、2月27日の全国の小中高の休校要請を機に、帝京も休校となり、下宿組みの選手も帰省した。一度、練習再開の準備を進めていたが、3月下旬に都知事の外出要請を機に休校が延長。さらに緊急事態宣言が5月25日まで行われ、休校も続いた。

 そして約3ヶ月の時を経て、6月1日から選手に再会。さらに6月2日から練習を再開し、選手の体力回復を念頭に置いて軽めのメニューを行っている。いずれは通常練習ができればと考えている。

 そして5月20日の甲子園中止が決定した後、3年生、2年生1人1人あたり電話し、励ましてきた。今ではLINEなどコミュニケーションツールを使って、メッセージを送る方法もあり、実際に動画やテキストメッセージなりで送っている指導者の方もいる。前田監督もそういう方法も一度、考えたが、「それだと個人的な考えだけを一方的に発信してしまうことになるので、まずは選手たちの話を聞いて、彼らの思いを聞くことにしました」と前田監督なりのやり方で選手に寄り添った。