第74回 日本の二刀流から世界の二刀流へ 未だ底が見えぬ大谷翔平が目指す頂とは2018年12月30日

印刷する このエントリーをはてなブックマークに追加   

【目次】
[1]ベーブ・ルース以来の二刀流にかかる大きな期待
[2]打者に専念した大谷翔平への期待感

打者に専念した大谷翔平への期待感



メジャー初本塁打を放った大谷翔平(共同通信)

 3月29日(日本時間30日)、オークランド・アスレチックスとの開幕戦に8番指名打者でスタメン出場した大谷は、初打席で右前打を放ち、メジャー初安打を記録。上々の滑り出しを見せた。そして迎えた4月1日(同2日)、大谷の投球に日米のファンが衝撃を受けた。

 6回3失点、被安打3、奪三振6、与四死球1

 オープン戦で見せた、制球に苦しむ姿はそこになかった。初回から160キロの剛速球でメジャーの強打者たちをねじ伏せた。2回に1発こそ浴びたが、失点はこの一打のみ。クオリティ・スタートを達成し、見事初登板初勝利を果たす。

 さらに、本拠地デビュー戦となった4月3日(同4日)、8番指名打者で出場した大谷は第1打席で変化球を豪快にフルスイング。メジャー第1号を右翼席に叩きこんだ。冒頭のフレーズが初めてテレビから聞こえてきた瞬間だった。この一打で波に乗った大谷は3試合連続本塁打の離れ業をやってのけ、全米ファンのハートをガッチリ掴んだのだ。

 この活躍で週間MVPに受賞されると、投打で好調をキープし、4月のルーキー・オブ・ザ・マンスも受賞。オープン戦の不調が嘘のような活躍に、開幕前には大谷を酷評した現地記者も、自身の誤りを認め謝罪の意を込めた記事を出すなど、異例とも言える事態にまで発展した。

 順調に勝利、本塁打を積み上げていた大谷だったが、6月に右肘が悲鳴を挙げる。右肘内側側副靭帯損傷が見つかり、前年同様PRP注射を行い、DL(故障者リスト)入り。しかし7月に入って打者限定で復帰を果たすと、そこから夏場にかけて凄まじい打棒を見せた。

 8月は24試合に出場し打率.328、6本塁打、18打点、4盗塁と、投げる方がダメなら打てばいいと言わんばかりの活躍で、この頃には4番にも座るなどすっかり主軸打者として定着していた。

 そしてPRP注射から約3ヵ月が経った9月、満を持しての復帰登板を果たし、最速159.8キロを計測し完全復活たしたかに見えた大谷だったが…右肘に新たな損傷が見つかり、今シーズン中の投手としての復帰は絶望的。「すぐに手術するべき」という声もあったが、大谷はここから打者に専念。

 すると9月には打率.310、7本塁打、18打点と好調をキープし、日本人メジャーリーガーの新人本塁打記録を塗り替えるシーズン22本塁打を放つなど、打者としてだけ見ても十分な成績を残して見せた。

 ルーキーイヤーの大谷は打者として104試合出場、打率.285、22本塁打、61打点、10盗塁。投手としては10試合51回3分の2を投げ、4勝2敗、防御率3.31、奪三振は脅威の63を記録した。この活躍が認められ、見事ア・リーグの新人王にも選出された。シーズン終了後には右肘の靭帯再建手術を受け、無事成功。来季は打者に専念する見込みだ。

 2018年シーズンは大谷にとって満足のいくものではなかったのかもしれない。二刀流を志して海を渡ったものの、投手としては大きな痛手を負ってしまった。もちろん日米のファンも残念な思いでいることだろう。

 しかし、一方で打者に専念する大谷がいったいどれだけやってくれるのか、ワクワクしてしまうのも素直な気持ちだ。もしかしたら日本人初のMLB本塁打王が誕生するかもしれない。もしかしたらトリプルスリーを成し遂げてしまうのでは?もしかしたら…。二刀流ではない一刀流に専念した大谷への期待は膨らむばかりだ。

 未だ完成形が見えない大器が、目指す山の頂に手をかける瞬間が見られることを期待しながら、来季も大谷の戦いを見守っていきたい。来季もきっと、幾度となくあのフレーズを聞くことを願って。

文=林 龍也(編集部)

【大谷コレクション公開中!!】
 詳細は下記のリンクをクリック!

この記事についてTwitterでつぶやく この記事についてFacebbokに投稿する
【関連記事】
第1172回 高校野球界から中学アカデミーへ転身を遂げた知将・島田 達二氏(元高知高監督)が提示する育成案 【2020年インタビュー】
第27回 歴代の甲子園を沸かせたヒーローたちが続々と上位にランクイン!人気選手名鑑ランキング!【高校野球ドットコム 人気記事ランキング】
第2回 徳島県高校野球3大ニュース:「振興・復活・創造」への胎動【徳島の高校野球】
第66回 「もっとイキイキと」投げてほしい 恩師が語る堀瑞輝(広島新庄-北海道日本ハムファイターズ)への想い【恩師が語るヒーローの高校時代】
第11回 「素材重視の指名か」スポーツライター・小関順二さんが日本ハムのドラフトを予想!【プロ12球団ドラフト分析2019】
第93回 清宮 幸太郎(北海道日本ハムファイターズ/一塁手) 試練のプロ2年目を超え 「清宮スタイル」確立へ【高校野球コラム】
第1003回 「大谷2世」の言葉はまだ使わない 無限の可能性を秘めた山崎隆之介(東京城南ボーイズ) 【ネクスト球児インタビュー2019年】
第956回 「野球を愛する純粋な高校生」目指すは見るものをワクワクさせる野球選手 山田紘太郎(西尾東)【後編】 【2019年インタビュー】
第946回 関西屈指の野球センスを持った「次世代の二刀流候補」 谷口勇人(京田辺ボーイズ) 【ネクスト球児インタビュー2019年】
第913回 「球威」と「制球」を両立させた伸び盛りの本格派 清水樹(秦野リトルシニア) 【ネクスト球児インタビュー2019年】
大谷 翔平(花巻東) 【選手名鑑】

コメントを投稿する

コラムトップに戻る サイトトップに戻る

コラム