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第218回 投手必見!練習や試合後に意識したいクールダウン2019年03月31日
【目次】
[1]アイシングの有無によるケアの違い
[2]投球後のジョギングとストレッチ

こんにちは、アスレティックトレーナーの西村典子です。
甲子園ではセンバツ高校野球が開催され、皆さんの地域では春の公式戦が始まったところも多いことでしょう。それに伴って試合数が多くなると、疲労などによるコンディション不良なども見られるようになる時期です。小さな変化を見逃さず、ケガを予防するように心がけましょう。さて今回は練習や試合後に意識をしたい投手のクールダウンについてお話をしたいと思います。
投手(捕手も含む)は野手よりもより多く投球動作を繰り返すため、試合や練習後のクールダウンについても適切なコンディショニングが必要となってきます。投球練習や試合での登板が終わった後は「肩や肘にいつもとは違った感覚や痛みがあるかどうか」をチェックしましょう。特に気にならない程度であれば通常のクールダウンを行いますが、痛みや触ったときに熱っぽさを感じる熱感がある場合は、患部を氷などで冷やすアイシングを行うようにします。
アイシングの有無によるケアの違い

アイシングの有無に関わらずインナーマッスルのトレーニングは必ず行おう
●アイシングをした方がいい場合
すべての投手にアイシングが必要であるとは限りませんが、痛みや熱感、違和感が残る場合は患部に炎症症状が出ていることが考えられます。この炎症症状を抑えるために患部を冷やすようにします。ただし患部を冷やしてしまうと炎症はある程度抑えられますが、関節そのものの動きが悪くなってしまったり、患部付近の筋肉が冷やされることによって硬くなってしまうといったことも起こります。こうしたメリット・デメリットを理解した上で、アイシングを選択するようにしましょう。また普段からアイシング後のコンディションを把握しておき、アイシングをすると翌日の動きがよい場合は行うようにするといった指標を持っておくようにすると良いでしょう。
●アイシングをしない場合
特に痛みや違和感などがない場合は、必ずしもアイシングをする必要はありませんが、患部のケアはしっかりと行うようにしましょう。特に投球時には腕を前方に振り出す動作を繰り返すため、どうしても肩(上腕骨頭)が前方に移動し、胸筋が収縮して背中が丸まってしまう傾向にあります。まずはそこをエクササイズなどで改善させるようにしましょう。体前方にある大胸筋のストレッチとともに、チューブなどを柱にかけ、利き腕を使って引っ張る動作を行うと、投球動作の動きとは逆の筋肉を多く使うことになって筋バランスの改善につながります。ものを「押す」動作ではなく、軽負荷で「引く」動作のエクササイズを繰り返し行って、背中や肩の後ろを中心に刺激を入れるようにします。また肩関節を安定させるために肩のローテーターカフトレーニング(いわゆるインナーマッスル)も同時にトレーニングするようにします。

- 西村 典子 トレーナー
- ■ 生年月日:1970年12月5日
- ■ 出身地:大阪府
- 奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。野球用品メーカーにて勤務後、トレーナーとして10年以上にわたり高校野球・大学野球の現場にたずさわる。野球現場での活動を通して自分たちで自分の体をマネジメントする「セルフコンディショニング」の重要性を感じ、チーム・選手・指導者にむけてスポーツ傷害予防や応急処置、トレーニング(ストレングス&コンディショニング)に関する教育啓蒙活動を行っている。
一般雑誌、専門誌、ネットなどでも取材・執筆活動中。また整形外科ドクターと野球の傷害予防に関する共同研究活動なども行っている(現在の研究テーマは手指血行障害について)。
現在、東海大学硬式野球部アスレティックトレーナーをはじめ、さまざまな高校野球部を担当中。 - ・日本体育協会公認アスレティックトレーナー
・NSCA公認ストレングス&コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)
・NSCA公認パーソナルトレーナー(NSCA-CPT)
・日本スポーツ整形外科学会会員 等 - 講演依頼はこちら
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