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2016年の高校野球を占う【九州編】「150キロ右腕2人、打率6割打者などスケール抜群のプレーヤーが目白押し!」

2016.03.04

 九州地区は3月に春季大会が開催され、全国的にも早い春を迎える。最近、九州地区各地の組み合わせが決まってきた。そんな今年の九州について、今回は注目選手を紹介し、これから迎える春の大会へ向けてワクワクした気持ちを高めて頂ければと思う。

今年は福岡県が熱い!佐賀、熊本もパワフルなチームが揃う

梅野 雄吾(九産大九産)

 今年の福岡は、九産大九産梅野 雄吾投手2016年インタビュー福岡大大濠濱地真澄2016年インタビューの2人の剛腕は押さえておきたいところ。梅野は同学年の投手へ対抗心を燃やす野球小僧。最速151キロの速球、キレのあるスライダー、カーブがコントロール良く決まったときはそうは打たれない。さらに元内野手ということもあり、フィールディングは抜群。あとは打者のタイミングを外す投球など、引き出しを増やすことができるか。

 また濱地だが、最速146キロを誇るストレートは手元で伸びており、さらに変化球の精度も上がり、昨秋の県大会でも安定感抜群の投球を展開。現状に満足せず試合を支配する投球を目指しており、ストレートの伸び、変化球の切れなどあらゆる面で高いレベルを求めていきたい。

 九産大九州岩田将貴は左サイドから120キロ後半の速球、曲りが鋭いスライダー、シュートを駆使して打たせて取る県内屈指の技巧派左腕。着実にレベルアップを果たし、県内ナンバーワン左腕を目指していきたい。
3年連続の夏の甲子園出場を狙う九州国際大付。NOMOジャパン経験者である藤本海斗は期待の右の本格派だ。さらに昨季から主力選手だった中山竜秀の成長にも期待がかかる。自由ケ丘の右腕・岩田 諒大も伸びのある速球を武器にする。また谷口 碧(西日本短大付)も、1年から注目を浴びてきた選手だが、今年は一気に注目投手となるかに注目。

 野手では秋優勝の九産大九産は、広角に打ち分けるバットコントロールとスピード感ある守備が光る只松 宏樹が打撃ではパワー、守備では安定感を高めていきたい選手。
県内屈指の長打力を誇る土田 天洋小倉)は古豪復活を目指す小倉高期待のスラッガーだ。そして揚村 彰斗飯塚)も打球速度が非常に速く、一冬越えて打者として完成度を高めることができるかに注目していきたい。

 福岡大大濠は高校通算38本塁打の左のスラッガー・田中 力哉、1年生の時点で、高校通算17本塁打を放ったスラッガー・東 怜央(新2年)、走攻守三拍子揃ったショートストップ・古賀 悠斗(新2年)と逸材揃いだ。

人材豊富な福岡県はこれから逸材がどんどんクローズアップされることが予想されるだろう。

 佐賀県では県内屈指のスラッガー・野中 翔太佐賀商)が、打者として、捕手として全国レベルの実力を身に付けているかが焦点となる。日永 田凌佐賀学園)は昨夏から経験十分の長身の右腕。一冬越えてどんな成長を見せているか。また下級生の時から140キロ台の速球を投げ込んでいた右腕・坂口 蒼(佐賀鹿島)の成長にも期待がかかる。

 熊本県では強打の捕手・九鬼隆平2015年インタビュー、エース・有村大誠など圧巻の強さを見せる秀岳館が中心になるだろう。スラッガー・村上宗隆松下且興など強打者が揃う九州学院も対抗馬になるだろう。また、まるで中村 剛也(埼玉西武ライオンズ2015年インタビュー)のような体型をしているが、パワフルな打撃と軽快な動きが光る竹村 彰太鎮西)は、熊本県屈指のスラッガーとして飛躍を目指す。

 岩本 浩朗多良木)はパワフルな打撃と強肩がウリの大型外野手だ。そして1996年、夏の甲子園準優勝の熊本工は節目の1年に結果を残していきたいところ。キーマンとなるのは、運動神経が良いショートストップ・溝越 圭太。守備範囲の広い守備に加え、ミートセンスが優れた選手で、さらに一冬越えてプレーに逞しさを出していきたい。

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[page_break:宮崎県は150キロ右腕・山本、鹿児島県では昨秋の打率6割の綿屋に注目]

宮崎県は150キロ右腕・山本、鹿児島県では昨秋の打率6割の綿屋に注目

 大分県では昨夏甲子園出場の明豊はエースで主力打者である山中 大輝に期待。打撃では非常に球足が速い打球を飛ばし、投げても140キロを超える速球を投げ込む明豊のキーマン。安定した守備とパワフルな打撃が持ち味のショートストップ・大庭 樹也は、昨夏の甲子園で持ち味を発揮することができなかった悔しさをバネに飛躍を果たしたい。また1年生から試合に出場している杉園 大樹(新2年)も期待のスラッガーだ。九州大会出場の臼杵は昨夏から経験している右の本格派・松嶋廉の成長がカギになりそうだ。また2014年夏甲子園出場の大分は好打者・佐藤陸に注目。最終学年で主力選手としてチームを引っ張っていきたい。

 長崎県では選抜出場の長崎海星は、走攻守で高い才能を秘める左打ちの外野手・服部 貫大に注目。今年は突出した力を持った選手はいないが、まとまりで勝負する選手だ。また身体能力抜群の野手・井崎 光次郎長崎西)、長身からキレのある速球を投げ込打左腕・馬場 健一郎長崎日大)なども注目選手になるだろう。今年の九州大会は長崎開催。他の県に比べれば多くの学校が出場できるので、そこでまた多くの逸材がクローズアップされてくるに違いない。

山本 由伸(都城)

 宮崎県では、選抜出場の日南学園は、4番益田 海成、攻守の要である捕手・萩原 哲など打力が高い選手が揃う。またドラフト候補として浮上するのが都城山本 由伸。最速150キロを超える速球とキレ味が鋭いスライダーを武器にする投手で、今年1年のパフォーマンスが問われるだろう。

 富島吉田寛輝木村天響のバッテリーは1年生から実績をあげてきた。吉田は県内屈指の好投手として、木村は県内屈指の大型選手として注目を浴びる存在だ。2人が入学するまで富島は公式戦の出場があまりないチームだったが、近年力をつけてきており、上位進出を目指していきたい。
昨夏甲子園出場の宮崎日大では、速球に振りまけずに強い打球を打ち返せる強打者・溝上 憲伸も面白い存在だ。

 また今年の鹿児島県を代表する選手を挙げると、綿屋樹鹿児島実)と太田龍れいめい)の2名が挙げられる。綿屋は昨秋、打率.621、4本塁打、20打点と圧巻の成績を残した左のスラッガー。もともと三塁を守れる選手だが、今は一塁に専念。今年の選抜でどこまでアピールできるかも注目だ。そして太田は188センチの長身から最速148キロを計測した右の速球派だ。鹿児島の状況を占った記事については、こちらの記事を見ていただきたい。

 沖縄県の有力選手を挙げると、タイシンガー・ブランドン大河(沖縄石川)は、すでに140キロを超える速球を投げ、さらに打力も高く、投打で注目していきたい選手といえる。昨夏甲子園8強の興南は左の巧打者・具志堅 大輝が走攻守の完成度が高く、今年はドラフト候補に名乗り挙がる活躍を見せていきたいところ。またエースの比屋根 雅也は出所が見難い、独特なフォームから勝負する投手だが、昨秋の不調を乗り越えることができているか。また経験豊富な仲地玖礼嘉手納)は130キロ後半の速球、制球力も高く、安定したマウンド捌きが光る右の好投手として注目を浴びそうだ。また鹿児島県と同じく沖縄県の状況を占った記事についてはこちらの記事を見ていただきたい。

 九州地区は、他の地区と比べると身体能力が高い選手が多く、驚くようなプレーを見せる選手が非常に多い。今年も九州からファンを熱くさせるような選手、チームが多く現れることを期待したい。

(文・河嶋 宗一


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2016年度 春季高校野球大会特集

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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