高校野球界に「中学軟式出身旋風」到来か?


 8月17日(土)・第101回全国高等学校野球選手権第11日目、この日でいよいよベスト8が出揃います。ところで皆さん、今大会に限らず最近の甲子園ではある「旋風」が起こっていることをご存知でしょうか?

 東北勢?確かにそれもあります。公立校?それもありますね。でも、もう1つ隠れたところにある旋風。それは「中学軟式出身者」というワードです。

 過去30年ほど、高校野球では長らく「中学は硬式チーム出身者が有利」という神話がありました。たとえば現在MLBに所属している選手も東北(宮城)・ダルビッシュ 有投手(シカゴ・カブス)は羽曳野ボーイズ(大阪)出身。駒大苫小牧(北海道)の田中 将大投手(ニューヨーク・ヤンキース)は宝塚ボーイズ(兵庫)出身。またPL学園(大阪)の前田健太(ロサンゼルス・ドジャース)も忠岡ボーイズ(大阪)出身。

 さらに花巻東(岩手)卒の2人・菊池 雄星投手(シアトル・マリナーズ)は盛岡東リトルシニア(岩手)出身で、大谷 翔平選手(ロサンゼルス・エンジェルス)も一関リトルシニア(岩手)出身。鳥羽(京都)卒の平野 佳寿投手(アリゾナ・ダイヤモンドバックス)のみが宇治市立北宇治中(京都)軟式野球部出身となっています。さらにNPBに枠を広げれば、中学硬式野球チーム出身者は枚挙にいとまがありません。

 ただ、今大会では軟式野球部出身者が軒並み健闘しています。代表格となるドラフト1位有力の星稜(石川)・奥川 恭伸投手(3年)はかほく市立宇ノ気中(石川)出身。仙台育英(宮城)は1年生トリオ・左腕の笹倉 世凪と右腕の伊藤 樹、捕手の木村 航大はじめ、メンバー18名中9名が系列中の秀光中等教育学校(宮城)出身です。

 中学軟式出身者の健闘は選手だけではありません。明石商(兵庫)・狭間 善徳監督は明徳義塾中(高知)を4度の全国制覇に導いた中学軟式野球界の名将、仙台育英・須江 航監督も一昨年12月まで秀光中等教育学校の軟式野球部監督を務め、2014年には全国中学軟式野球大会優勝を果たしています。

 3回戦・明石商宇部鴻城(山口)相手に一死三塁からの「エンドラン」で追いつき、満塁からのスクイズでサヨナラ勝ちしましたが、これは中学軟式野球でよくある戦術。こんな視点から野球を見てみても面白いかもしれません。

 ちなみに星稜についてもう1つ言えば、奥川、山瀬 慎之助(3年)バッテリーの出身中であるかほく市立宇ノ気中は彼らの3年夏に全国中学校軟式野球大会初制覇、甲子園メンバー18名中10名の出身中である星稜中は全日本少年軟式野球大会で全国制覇を成し遂げています。

 はたして、中学3年の夏で頂点を極めた選手たちが高3夏でも全国頂点を達成できるのか?2016年・全日本中学野球選手権ジャイアンツカップ優勝の湘南ボーイズ(神奈川)出身者が残念ながらここまでに最後の夏を終えた中、そんな点にも注目したいと思います。