3年生座談会 市立船橋高等学校(千葉)「快進撃を続けた市立船橋ナインが語る3年間で学んだこと」 ・後編
前編では夏に入るまでの軌跡、準々決勝までの戦いぶりを振り返っていきました。後編ではクライマックスを迎える準決勝の習志野戦、決勝の木更津総合戦を振り返ります。そして最後に、市立船橋の3年間で学んだことを語ってもらいます。
強豪・習志野にはどう対策したのか?
八幡悠耶投手と高田悠太捕手のバッテリー(市立船橋高等学校)
――準決勝は習志野戦。機動力もあって投手力も高く、応援も凄いチームですが、プレッシャーとかはありませんでしたか?
宮:まず応援についてはうちのチームも凄いと思いましたので、それは気にしませんでした。自分たちの代でやるのは初めてだったので楽しくやろうと思っていました。
――確かに市立船橋の応援も凄かったですね。そして先制打を打ったのは宮君でした。準決勝でも楽に入ることはできたのですか。
宮:いつも通り打てました!
――先発は八幡君でしたが、習志野打線に対してどういうピッチングを心掛けたのでしょうか?
八幡:厳しい相手でしたけど、この試合では、低めに変化球がしっかりと決まって空振りを奪うことができましたし、アウトコース、インコースを投げ分けられたのは良かったです。
高田:習志野打線はインコースをしっかり攻めきれないと勝てないので、インコースにしっかりと投げることを重要視してリードしました。また左の好打者が多いので、二塁手は一、二塁間寄り。さらに深く守らせて、そこに打たせる配球をしましたが、実際にそういう打球が飛んで、思惑通りにいった試合だったかなと思いました。
――6回表に同点に追いつかれて、6回裏、一死満塁の場面で橋本君!左中間を破る走者一掃のタイムリースリーベースを打ちましたが、その時、どういう心境で打席に立ったのでしょうか?
橋本:試合が後半に入ってきて何とかしたい思いでした。みんながチャンスを作ってくれたので、最低、犠牲フライと思った結果が三塁打でした。打った球種はストレートで、ベースを回ったときは集中して何も聞こえなかったのですが、三塁に滑り込んだ瞬間、みんなの歓声がすごかったですね。
宮:橋本がストレートに強いのはみんな分かっていて、ノーストライクスリーボールになって、これはチャンスかなと思いましたが、本当に凄い一打でした。
――そして高田君もタイムリーを打ちました!高田君は良いところで打ちますね。勝負強さには自信を持っているのですか?
高田:勝負強くないですよ!僕は打撃については自信がないですし、振ったらバットに当たってしまったんです(笑)。あの打席を振り返ると、とにかくストライクがきたら振ろうと思っていました。
初めての決勝戦はとにかく楽しかった
橋本勇樹選手(市立船橋高等学校)
――そしてしぶとい習志野を破って決勝進出。相手は選抜ベスト8で二季連続出場を狙う木更津総合でした。秋以来の対決となりましたが、いかがでしたか?
宮:秋にコールド負けしたイメージがあったので強いのかなと思っていたのですが、まず初回を戦い終えたところ、特にびっくりもせず、木更津総合の実力自体は今までやってきた相手とそれほど変わらないと思いました。
――ただ大エース・早川隆久君(関連記事)が先発でした。早川君の印象については?
宮:ストレートが走っていたわけではないですけど、変化球中心で、すぐ追い込んでいて、それは上手いなと思いました。また狙っているコースにボールが来ているんですけど、手元でボールを微妙に動かしているので、打ち損じてしまう。狙い球がきてもヒットゾーンに来てるコースにこないんですよね。さすがだなと思いました。
――試合は2回表に先制を許したところから八幡君がマウンドに登ります。
八幡:先発の鍵本がいつ荒れてもおかしくない展開だと思っていたので、僕は出番があると思って、気合を入れてしっかりと準備をしていきました。
――粘り強い投球で木更津総合打線を無失点に抑えます。リードしていた高田君は八幡君の出来についてどう思いましたか。
高田:秋はストレートを打たれていたので、変化球を交えて打たせて取ろうと思いました。この日はカーブが低めに決まっていましたね。
――0対2のまま進んだこの試合。6回裏、満塁のチャンスで高田君に打席がまわり、見事に同点打!これもまた当たってしまったんですか?
高田:はい!またも当たってしまいました(笑)。早川君なんてどう考えても、僕が打てる投手ではなかったので、とにかく不安ばかりでした。とにかく当てようと。自分でも驚きの一打でしたね。
――決勝戦では、高田君が打ったことで、球場はかなり緊迫した雰囲気となっていましたが、どう感じましたか。
宮:僕らにとっての初めての決勝戦。とにかく楽しかった思い出しかありません。緊張は感じませんでした。
――そして9回表に勝ち越されてしまいました。
宮:自分が打てなくて負けましたね。でも早川君のような投手と決勝戦という舞台で対戦できてよかったです。
――高田君は9回裏にまたも安打。これもまた…?
高田:あれも当たってしまいました(笑)。あの日の自分はついていたと思います(笑)
――でも八幡君、この夏の高田君の働きは大きいですよね?
八幡:そうですね。やっぱり捕手としてのリード、声かけとかでも信頼できる部分が大きかったです。僕も高田と一緒に成長した姿は見せられたと思います。
市立船橋の3年間は男としての在り方を学んだ
柄澤侑也外野手(市立船橋高等学校)
――最後に皆さん伺いたいと思うのですが、市立船橋の3年間はどうでしたか。何を学びましたでしょうか。
宮:昨夏は1回戦敗退。今年は決勝戦まできて準優勝。いろいろあったんですけど、市立船橋に入学して良かったかなと思います。ここでは人として、男としての在り方を櫻内先生から学びました。男としての在り方とは、潔くて、自分の非を認めて、それをどう直すのか。そういうところを櫻内先生から学びましたね。最後は胴上げできなかったんですけど、自分が打てなくて負けてしまったので、後輩たちは勝負所で打てる選手になってもらいたいです。
橋本:自分もいろいろなことを経験させてもらって人間的に成長することができました。うちは部員が126人と本当に多くて、ベンチ入りするだけでも大変です。自分の持ち味は打撃なので、ひたすら打撃を振って、夏までに調子が上がってそれでなんとかベンチ入りをつかむことができました。そして夏に活躍ができて良かったです。
柄澤:いろいろケガがあって苦しい時期もありましたが、最後の夏であそこまで勝ち続けて、そして打つことができて良かったです。
高田:いろいろなことがあったんですけど、思い出深い3年間でした。櫻内先生は元捕手なので厳しく指導をしていただきました。こういうリードがあるんだ、そういう考えもあるんだなと学びが大きく、捕手として大きく成長することができました。振り返れば、入学当時の自分は投手のことを考えない。要求したボールが来ないと、イライラしている選手でしたが、ここにきて本当に変わったと思います。
八幡:挫折しそうなことがあったんですけど、しっかりと乗り越えてやることができたと思います。僕らの代は投手が13人もいて、3学年だと、30人います。ベンチを外れた投手も、実力的にはベンチ入りしてもおかしくない投手が多くいます。だから練習試合で打たれることがあったら、ベンチ外になってしまうという危機感は常にありました。そういう中で、変化球やコントロールを磨いていくことができてベンチ入りすることができました。
――皆さん、いろいろな思いを語っていただきまして、ありがとうございました。皆さんは今後も野球を続けるのでしょうか?
一同:続けます!
――そうなんですね!3年生は何人続けるのでしょうか?
宮:3年生は18人続けます。メンバーに入っていない選手も続けます。ベンチを外れた選手でも、他の学校だったらエース、4番を打ってもおかしくない選手がいたんです。
――そうなんですね。皆さんは126人の思いを背負ってグラウンドに立ったんですね。
宮: そうですね。その思いはどこの学校よりも強かったと思います!
新チーム当初から、夏の大会まで振り返っていただいた市立船橋の選手たち。激しい競争を勝ち抜いた選手たちだけあって、とても自覚をもってグラウンドに立っていたのが実感できた。こういう選手たちの活躍を見ると、やはり市立船橋は夏にかけて強くなっていくチームになりそうだ。
(取材・写真=河嶋 宗一)
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