第4回 成瀬 善久投手(東京ヤクルト)が語る「キレのある球を投げるメカニズム」2015年06月07日

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成瀬善久

【目次】
[1]成瀬投手が大事にしている“フォームのこだわり”
[2]高いレベルで勝負したいなら、今(高校)こそが大事

 成瀬 善久投手は、「球持ちがいい」と言われる投手だ。だが、「球持ちをよくしよう」と意識的に取り組んだことはまったくないという。自分にとって合理的なフォームで投げることを追求していった結果、「球持ちがよくなった」というのだ。
おそらく成瀬投手の球持ちのよさは、野球の神様によるご褒美なのかもしれない。なぜなら、投手が質の高いボールを投げるために、最も大事な要素のひとつがメカニック(フォームにおける一連の動作)であるからだ。

 いかにして下半身でパワーを生み出し、体重移動やひねりの動作で力を加え、腕を振りながら指先からボールを離していくのか。その動作をいかに合理的にできるかが、放たれるボールの良し悪しとなって表れる。
決してスピードのあるボールではないものの、コントロールとキレで打者を打ち取る成瀬投手は、メカニックにおいて独特のこだわりを持っている。

成瀬投手が大事にしている“フォームのこだわり”

成瀬 善久投手(東京ヤクルトスワローズ)

――成瀬投手がメカニックで大事にしている部分は、最初のトップに行くまでですか?

成瀬 僕、ほかの人と(右)足の上げ方が違うと思うんですよね。足の上げ方は、回すイメージです。重心移動で前に行きながら、クッと体が回転している。みんなは回転してから投げている。そういうイメージですね。僕が大事にしているのは、右足の上げ方からトップに持っていくまでのところです。

――最初の動作でいかに力を生み出すか、ということですか?

成瀬 理想は5割くらいから軽く入って、6、7、8、9、10割みたいな力の入れ方です。最初から思い切り投げても、腕が体から離れたり、外開きになったりするので。リラックス状態の方がトップに入りやすいというか、すんなり肘の内旋、外旋ができやすいんですよ。

――特に回転を意識するのは、ひねりのパワーをいかに使うかという発想なんですか?

成瀬 瞬間的なひねりの爆発がすごく大事だと思います。みんなそうだけど、足を上げてから投げにいくまでの瞬間的な体の回転で、パワーを発揮すると思うので。それに対して、踏み出し足で思い切り爆発できるか。それで、よりキレが出る。

――キレのある球は成瀬投手の持ち味のひとつですよね。

成瀬 130kmしか出ていないのに、140km出ていると感じさせるピッチャーもいますよね。逆に160km投げているのに、160kmに感じないピッチャーもいる。それは、その瞬間の投げ方もそうだし、そこからの球持ちも関係していると思います。僕はすごく球の回転が大事なのかなと思いますね。

――球持ちは技術の問題ですか?それとも意識?

成瀬 うーん……どうなんですかねえ。僕、もともとこんなに小さい投げ方をしていなかったので。大きい投げ方をしていて、それを小さくしたので。

――いつ変えたんですか?

成瀬 高校に入ってからです。中学校ではすごく大きい投げ方だった。だから、スピードは出ていましたよ。

――コントロールを求めていった結果、小さくなったんですか?

成瀬 渡辺監督から「お前はスピードがないから、コントロールを意識しろ」って言われて、そういう意識をしました。でも高校1年生で140kmちょっと出るピッチャーって、そうそういないと思うんですよ。僕、130km後半は出ていたんですけど、監督からしたら球が遅かったみたいですね。

――横浜高校の基準からすると遅い、ということですね。

成瀬 そうですね。自分の中では……ちょっとスピードに伸び悩んだというのもありましたし、いまより体の線が細かったということはあったので、コントロールを重視する方に持っていったのかなと思います。実際、高校のときよりプロの方が、球が速くなっているのも事実なので。

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