目指すは夏ベスト8

 郁文館の選手たちについて佐々木監督は「とても真面目な選手たちで、少しずつ吸収しています。ただ、飯田、吉澤らがいた時の常総学院は選手自身で戦術を考え、エンドランを仕掛けても本塁打になったりとか、お釣りが返ってくるほどの成果を収められるほどのチームでした。そうなるにはまだ時間がかかりますが、基本的には守備、サインプレーを大事にしていきます」

 チームは今、実戦力を身につける段階に入っている。

 入学する選手たちのレベルも高まってきた。9人の2年生の中には145キロ右腕・齊藤 拓未、強打の捕手・高野 竜輔(2年)の有望バッテリーがいる。また、一塁手の井﨑 玲王(2年)は茨城県出身で、佐々木監督を慕って入部してきた。1年生の中には関東の中学硬式の強豪チームで主力として活躍してきた選手たちも入部している。

「1年生の中には主力チームに加わって、試合に出ている選手もいます。3年生もこのままではいけないと、自主練習で目の色を変えて練習する3年生も増えています。競争意識は高まっています」(佐々木監督)

 強豪校への歩み着々と進めている郁文館。佐々木監督は常総学院時代、1学年20人前後が大学で野球を続けるように進路をサポートし、“出口が強い”チームを作った。郁文館でもその流れを作りたいと思っている。

「昨秋から野球を続けたいと志望する選手に対しては、大学の練習会に参加させています。常総学院時代に知り合った大学野球部関係者の方もいるので、挨拶をしています」

 今春、郁文館は夏のシード入りをかけた3回戦の駿台学園戦で守備の乱れから敗れた。守備上達、投手の制球力向上がチームの課題だ。

 佐々木監督は「守りから崩れる野球は残念な結果に終わります。守り負けないように競ってから、勝ち越せるようにしていきたい。甲子園に出場するには最大8試合あります。疲労も溜まると思うんですけど、1戦1戦、勝ちきれるチームにしていきたいと思います」と語った。

 津本主将は「ベスト8を達成して、郁文館にとって新たな歴史を作りたいと思います」と最後の夏に燃えている。

 佐々木監督が就任してから1年半も経ち、順調にチームの改革、強化が進み、一体感が生まれてきた。新生・郁文館にとってこの夏は“強豪校”の名を掴み取る重要な大会となる。

1 2 3