<愛媛県高校野球強化交流試合2025:今治西4ー1愛工大名電>◇7日◇坊っちゃんスタジアム

 愛媛県の協力と松山市・愛媛朝日テレビの後援を受け、6月7日(土)8日(日)の両日、坊っちゃんスタジアムで盛大に開催された「愛媛県高校野球強化交流試合2025」。

 今回は過去に2005年センバツの全国制覇を含む春10回・夏15回の甲子園出場を果たし、日米そろって野球殿堂入りを果たしたイチロー氏やNPB通算224勝の工藤 公康氏をはじめ、球界に輝かしいOBを輩出している愛工大名電(愛知)の野球部と吹奏楽部を招待。今治西(今春愛媛県大会準優勝)・新田(昨秋&今春県大会優勝)・松山商(昨秋県大会準優勝)の順で計3試合を開催した。

 うち初日の第1試合では今治西愛工大名電と対戦。愛工大名電は倉野 光生監督が「もう夏の愛知大会でベンチ入りを争う段階になっている」と語った最速136キロ左腕・口田 愛翔(緑クラブ<軟式>出身)、強肩で二盗を阻止した皆川 慧(狭山西武ボーイズ<埼玉>出身)、積極的なリードとセンターオーバーの強打が光った堀田 将大(愛知名港ボーイズ出身)といった1年生たちが軒並み躍動。

 対する今治西も4回裏に今井 敦暉(3年)が左越2点二塁打、7回には塚岡 健太(1年・松山ヤングアブレイズ出身)左前打と代打陣が結果を残す興味深い内容となったが、その中で最も輝いたのは今治西の最速139キロ左腕・榊原 綜太(2年)であった。

 実は両校はこの招待試合に先立ち、5月25日に愛工大名電グラウンドで練習試合を行い、榊原が先発登板した試合では今治西が4対1で勝利。その際「相手が変化球にタイミングが合っていなかった」経験を踏まえ、この試合でもまずはいずれも120キロ前後を計測するカット気味に改良したスライダーと「本人も自信をもっている」(仙波 秀知監督)チェンジアップを用い相手の反応を観察。

 そして試合中盤からは「今回もあまり合っていないと思ったので」変化球を軸に据えながら、愛工大名電スピードガン計測で自己最速タイ139キロ・2150回転前後を記録したストレートを勝負どころでは気迫で投げ込み、9回二死まで無失点の快投。最後は失策で1点は失ったが、112球3安打6奪三振3四死球・自責点0で、練習試合のリベンジを期していた愛工大名電をまったく同スコアで返り討ちに斬ってみせた。

 それでも試合後には「もう少し球速も伸ばしたいし、調子に左右されない投球をしたい」と、第2シードで迎える愛媛大会へのあくなき向上意欲を見せた榊原。身長169センチでも絶大なる存在感を携える2年生は、気付けば2015年以来遠ざかる今治西・夏の甲子園出場へ向け、「うまくいかないことがあっても乗り切れるようにする」泰然自若左腕への道を歩む。