<令和7年度春季京都府高等学校野球大会 2次戦決勝:京都共栄11-7東山(延長10回)>◇19日◇わかさスタジアム京都

 京都共栄が延長戦を制して春夏秋を通じて初優勝。近畿大会出場もこれが初めてとなる。

 2022年9月からチームを率いている木谷 忠弘監督は「春の大会なんですけど、必死にやっている姿を見たら、ちょっと目頭が熱くなりました」と感激。50年前の決勝で敗れた東山相手にリベンジを果たした。

 準々決勝でノーヒットノーランを達成し、前日の準決勝でも1失点完投したエースの小林 海翔投手(3年)は「あまり負担をかけたくない」(木谷監督)と登板を回避。他の投手に期待したいところだったが、先発の足立 壮真投手(3年)が本来の出来ではなく、2回途中5失点で降板と序盤から苦戦を強いられる。

 それでも「攻撃力は私の経験の中でも上位に位置するのではないか」と2013年夏に兵庫の西脇工を甲子園出場に導いた木谷監督が評価する打撃陣が中盤に目覚めた。

 4回表に1点を返すと、5回表には5番・一色 銀捕手(3年)の適時打などで4点を奪って同点に追いつく。

 8回裏には再び勝ち越しを許したが、9回表には二死走者なしから3連打で満塁とすると、途中出場の山下 颯真外野手(3年)が0ボール2ストライクから際どいボールを立て続けに見逃して、同点となる押し出し四球を勝ち取った。

 無死一、二塁のタイブレークから始まる10回表、京都共栄の攻撃は二死満塁と勝ち越しのチャンスを迎える。ここで打席に立つのはこれが公式戦初出場だった途中出場の仲宗根 翔太内野手(2年)。「ベンチやスタンドの声援が力になりました」と2ストライクからのスライダーを上手く捉える。これが左前2点適時打となり、勝ち越しに成功。その後も打線がつながり、この回だけで5点を奪った。

 その裏の守備は9回から登板した4番手の小原田 優弥投手(2年)が東山の反撃を1点に抑えて勝利。激戦の末に初の栄冠を手にした。

 大勢投手(巨人)らを育てた木谷監督が赴任して今年で4年目。「真剣に野球をやろう」と選手に声をかけ続け、反復練習を粘り強く継続した成果が実を結ぶ形となった。

 「『本当に優勝したのかな?』という感じです」と一色は閉会式が終わってからも優勝が実感できていない様子。これまで優勝と無縁だっただけに喜びや驚きもひとしおだ。

 京都代表として24日から奈良県のさとやくスタジアムで開催される近畿大会に出場する。この日、登板がなかった小林は「近畿大会出る高校は自分たちよりも格上のところばかりで、自分たちが一番力はないと思われると思いますが、その中でどうやって抑えていくかがポイントだと思うので楽しみです」と意気込んでいた。

 分厚い選手層と粘り強い野球で京都の頂点を掴んだ京都共栄。近畿大会でも旋風を巻き起こすか。