<令和7年 春季愛知県優勝大会:豊川4―1東邦>◇4日◇決勝◇岡崎レッドダイヤモンド球場

 前日の準決勝で、昨秋の優勝校・至学館に競り勝った豊川中西 浩平投手(3年)が9回一死まで投げて、最後は平野 将馬投手(3年)が締めた。この日の決勝は、その平野投手が先発マウンドに立った。

 東邦は、名門校対決となった中京大中京との試合をタイブレークで制しての決勝進出である。この日の先発マウンドは前日10回を投げ切ったエース久田 泰心投手(3年)ではなく、背番号17の左腕・宇佐美 晴己投手(3年)である。

 前日の勝利で豊川の竹内 雄惺主将(3年)は「まずは、東海大会出場を決めることができてよかった」と安堵しつつも、「春季大会はもちろん、その先の東海大会も優勝を目指す」と公言したように、決勝進出で満足しない姿勢を示していた。長谷川 裕記監督も、「チームの全体的な力としては、センバツに出場した去年のチームよりも上」と言えるほど安定している。特に、投手力に関しては2本柱がしっかりといるので、安心した戦いができる。

 この日は、その一人である10番の平野投手が完投した。9安打はされつつもすべて単打。走者は出しても要所はしっかりと抑えていくという投球で9回を1失点に抑えた。その失点も、6回に一死二、三塁から内野ゴロの間に三塁走者が還るという形で、打ち込まれたものではなかった。

 打撃陣は、この日6番の林 朔矢選手(3年)が大当たりで、3安打3打点。初回には二死満塁から、2点タイムリーを放った。1点を返された6回裏、右中間を破る打球で、積極的な走塁で先の塁を狙い、迷うことなく三塁へ進むと、その勢いで本塁まで走り切って、ランニング本塁打とした。こうした姿勢が、チームにも勢いを与えた。長谷川監督は、「本来はもっと、下を打たせている選手なんですが、愛工大名電戦で打順を上げたら、上手くハマりました。今日はよくやってくれました」と喜んだ。もとから守備に定評があったが、「身体能力は高い」と、高校だけではなく、その先での成長が期待できる選手だ。林 朔矢選手自身も、「モイセエフ先輩(ヤクルト)に、打てない時に、『プレッシャーは楽しむようにしていけ』と言われた」ことが、自分にも励みにもなっているという。

 この春は37人の新入部員が入り、豊川は東三河の雄としての力を示すとともに、今年の愛知県では、名古屋地区の私学4強を十分に脅かしていく戦力だと言っていいであろう。

 東邦は、この日は久田投手の登板を回避して、山田 祐輔監督としては、続く投手として期待の選手を次々と起用していった。先発の宇佐美投手から、加藤 琉生投手(3年)と運天 塁斗投手(3年)、伊藤 悠真投手(2年)がいずれも2イニングずつ投げた。ただ、必ずしも光る投球という内容ではなかったのは、次への課題ということであろうか。