<令和7年度春季関東地区大会:帝京三4-2藤代>◇18日◇ノーブルホームスタジアム水戸
帝京三が4対2で藤代に勝利。雨で一日延期となった関東大会の開幕試合を制した。
勝利の立役者となったのはエース左腕・小田 心投手(3年)だった。序盤はボール先行の投球でリズムを掴みきれない中、「4回にクイック主導の投げ方から、足をあげてしっかりと一本で立つ投げ方に変えました」とフォームを修正したことも奏功し、6回まで無安打に抑えていた。
中盤以降も130キロ前後の直球に「チェンジアップがあってこその自分のピッチング」と話す決め球で藤代打線を翻弄。「変化球のキレもよくなり、真っ直ぐも低めに集めることができた」とヒットを許しながら9回まで投げ切り4安打2失点完投勝利をあげた。エースの力投に大牧 大輔監督も「序盤は苦しんだ中で、ベースの上で勝負してなんとか2点で抑えてくれた」と称えていた。
「背番号1」を背負い躍動した小田だが、3歳の頃に脳動脈瘤、さらには4歳の頃にランゲルハンス細胞組織球症と2度の大病を患っている。2回目の病で行った手術の影響で、右半身の感覚が薄れ、生活に大きな支障はないものの痺れも残っているという。
その中で家族が体全体を使うスポーツとして野球を勧めたことがきっかけとなり、小学1年生から練習に励んできた。投げる際には「両太ももの内転筋に力を入れて安定させて調整をしている」と体と向き合いながらエースナンバーをつけるまでに成長を遂げた。小田も「病気にかかっていなければ普通の人間だったと思う。そういった意味では病気に感謝している」と話していた。
帝京三は昨秋の関東地区大会に出場したが東農大二に3対10で敗戦。小田は1回1/3で5失点と苦しい内容に終わり「悔しさのあまり野球が好きではなくなった」と引退を考えていた。それでも「去年の12月にアメリカの大学で行きたいと考えている」と現在はアメリカの大学を経由してプロ野球を目指していく予定だという。
「支えてくれる人がいて自分は野球が出来ている」と周囲への感謝の気持ちを原動力に、左腕は腕を振り続ける。
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