夏、秋で味わった悔しさバネにプロへ
インタビューに応える櫻井選手
昨夏も埼玉大会決勝まで進出したが、後に巨人からドラフト1位指名を受ける石塚 裕惺内野手を擁する花咲徳栄に惜敗。櫻井は「長くなるんですけど…」と悔しさ混じりの表情で話し始めた。
「2点ビハインドの3回、2死満塁の場面で打席が回ってきました。チームを背負って打つぞと思っていたんですけど、レフトに強いファウルを打ったんです。その後にセンターフライで終わってしまいました。そこが悔しくて…」
あと一歩のところで甲子園出場を逃した夏から一転、主将として迎えた秋は3回戦で姿を消した。試合後に大粒の涙を流すほど感情をあらわにした。
「今まで4番を打ってきましたが、1人で野球をやっていたと思います。自分が打てばいいでしょ見たいな」
試合では5打席すべて得点圏で回ってきたが、結果としては5回裏の二塁打のみ。冷静さを欠いていた。
「みんなが自分にチャンスに繋げてくれて『キャプテンとしてチームを背負って打て』と岩崎先生から言われていました。エースナンバーも託してもらい、監督さんからの期待も掛けられているなかで応えることができなかったです」
岩崎監督も「これからこういう場面が多くなると思う。能力的には素晴らしい打者だが技術的にはまだまだ。花咲徳栄の石塚君が背負って勝負強い打者になったように彼も乗り越えてほしい」と試合後に話していたが、期待の長距離砲は春に向け、チームを背負って立つ覚悟はできている。
「もっとチームを見てやっていかなければいけないという自覚も持ちました。ただ強く振るだけではなく、返す場面で返すなど、技術の部分でも成長したと思います」
1年時から主軸を担ってきた櫻井もいよいよ最終学年を迎える。高校卒業後の進路を訪ねると自信満々にこう答えた。
「中学生の頃から高卒プロを目指していました。自信は100%です」
笑みをこぼしながらも「長打力と三振の少なさでアピールしたい」と自信を覗かせている。そのためにもまずは春夏通じて同校初となる聖地に意欲を見せる。
「今年のチームは組織力を重視してやっています。新3年生が腹をくくってやっていかないとチームとして強くなる必要があります」
25日には、本庄第一との初戦を迎える。2回戦では花咲徳栄と埼玉栄の勝者と対戦が決まっており、名門校が集まった激戦区を戦うこととなる。埼玉のみならず、全国区の強打者に成長できるのか。この春の成長が楽しみだ。