指揮官が語るプロ入り左腕と比べて足りないもの
負けたことで気づいたこともある。まず感じたのは捕手に依存した投球をしていたことだった。
「自分で配球を考えられなくてキャッチャーに任せきりになっていたので、もっと自分で考えて、ピッチングをやっていこうと思いました」
昨夏までは先輩のリードを信じていれば良かったが、今は捕手よりも西村の方が経験値では上回っている。投手として成長するためには必要な挫折だったのかもしれない。小牧憲継監督も森下を引き合いに出し、勝てる投手になることを求めている。
「森下はゲーム勘に優れていました。『流れが悪いな』と思ったら、意図的に3者連続三振で戻ってきてベンチに勢いを付けていました。あの子が『やっぱり良いな』と思ったのは、試合展開を読めるところです。勝てるピッチャーでないと評価されないので、西村みたいなタイプはその辺の嗅覚というか、ゲームの中での駆け引きを覚えてくれたらなと思っています。秋も確かに打線の援護がなくて、可哀そうな展開にはなってしまったんですけど、それでも点を取られたのは自分のフォアボールと、初回にここ一番で甘く入ったタイムリーなので、抜くとこは抜く、押すとこは押すという、ゲーム勘を掴んでほしいんですよね。去年は3年生が支えてくれたから力を発揮できたという部分もあるんですけど、今年に関しては西村がどう考えても引っ張っていかないといけない。その中でやっぱり今度は自分が背中で後輩を育てていく、そういうことを森下は何も言わなくてもできたので、そういう人間的な部分で僕は彼の成長を求めたいなと思っています」
秋の大会が終わってからは副主将に就任。よりチームを引っ張る意識が強くなり、周りを見る努力もするようになった。その成果は今春以降に見ることができるだろう。
注目の進路だが、「まだ活躍できる力もないので、大学でしっかり活躍できるような選手になりたいです」とプロ志望届は提出せずに大学に進学する方針。4年後の目標には「ドラフト1位でプロ野球に行くことです」と定めており、力を付けてからプロ入りを目指すつもりでいる。
進路やU-18高校日本代表一次候補入りなど様々な面で注目が集まるが、最大の目標は夏。「自分が勝たせられるピッチャーになって、もう一度甲子園に戻って、優勝したいです」と連覇に向けて意欲を見せている。
西村無双は今年も続くのか。彼のパフォーマンスから目が離せない。