鍛え上げたフィジカルで愛知の一番星へ

秋の悔しさを晴らすべく、春は再び予選から戦って県大会へ。そして集大成の夏へ、先輩たちに追いつき、追い越すためにも、松岡主将が挙げていたフィジカル強化は必須事項だった。

だからこそ宮地監督は「体づくりについては、前任の監督の時から厳しく指導してきました」と語ったうえで、宮地監督が就任してから始めた新たな取り組みについて明かす。

「練習量は他校に負けないくらい積んでいると思います。ですが、連戦になったときに体重が減ってしまって、飛距離が出ない。スピードが出ないのは心配しています。だから夏の大会で体重が減ることを前提に、『夏の大会までに、身長-95』を目標体重にしています。
そのための取り組みの1つとして、ゼット測定をやらせてもらっています。数字が出る分、選手たちのモチベーションの維持や主体的な取り組みができると思って、お願いしているところもありますが」

元々、星城は「体を大きくすることは得意だ」と周りのチーム、さらには中学校からも評されていた。体づくりに対して定評があるチームだが、選手たちがよりトレーニングに対して主体的に取り組めるように、21項目にわたる測定を実施するゼット測定を年に数回実施しているそうだ。

加えて、タンパク質を効率よく摂取するために、どのチームもトレーニング後に必ず摂取するであろうプロテインも、オーダーしているという。徹底した体づくりで、星城は春以降の巻き返しを狙っている。その覚悟は、松岡主将のコメントからも十分感じ取れる。

「本当に丈夫な体を作っていかないと、春夏に向かっていくなかで、勝負にならないと思います。
先輩たちの試合をスタンドから応援していた時、春季大会で愛工大名電と対戦しましたが、やっぱりフィジカルは優れているように感じましたし、夏の大会では緊張もあって、足をつっている先輩もいた。1試合戦い抜く大変さを感じましたからこそ、自分たちはフィジカルが課題なので、先輩たち以上にトレーニングに対して全員が意識を高くして取り組んでいます」

秋は県大会に届かずに悔しい思いをした。ただ裏を返せば、春に向けてじっくり準備する時間が出来た。宮地監督も語っていたが、「個のポテンシャルは高いチームだと思っています」と松岡主将も潜在能力の高さには自信を持っている。だからこそ、今度こそベストメンバーを組めるような体力、さらに技術を磨いてければ、「上位に勝ち上がっていける」と松岡主将は自信を持っている。

その自信は春季大会で示された。

一次予選では中部大一と激突。8回まで6対6と点の取り合いを繰り広げる試合になったが、最終回に1点を奪ってサヨナラ勝ち。その後、二次予選では東邦相手に9回終わって4対4。延長タイブレークに突入した10回に1点を与えてしまいサヨナラ負けに終わったが、秋からの成長を見せる戦いぶりだ。

県大会でも初戦・刈谷工に3対0で勝利。幸先良いスタートを切った。この勢いでさらなる上位進出なるか。そして夏の大会でも結果を残し、悲願の甲子園へ駆け上がれるか。自信を確信へ、オフシーズンの成果を発揮して愛知の一番星を目指す。