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23年のドラフトが豊作年である理由。それは各ポジションにライバルがいるから!

2023.10.23


第104回全国高校野球選手権大会は22日、決勝戦を迎え、仙台育英(宮城)が優勝し、22年度の3年生たちの公式戦は国体を除いて一旦終了した。

23日からは、甲子園決勝まで勝ち進んだチームも、新チームとしてスタートする。今年の高校2年生世代では現時点でも楽しみな選手が多く、近年でも稀に見るドラフト豊作年になる可能性がある。

2年生世代の特徴は、投打で目玉になる選手がいて、それを追う対抗馬の選手がいることだ。こういう年は例外なく豊作の年になることが多い。19年でいえば、星稜(石川)・奥川 恭伸投手(現ヤクルト)が、結果と実力ともにNo.1を示し、大船渡(岩手)・佐々木 朗希投手(現ロッテ)は、No.1の才能を示し、それを磨き続けた。

21年は市立和歌山(和歌山)・小園 健太投手(現DeNA)、明桜(秋田)・風間 球打投手(現ソフトバンク)、高知高(高知)・森木 大智投手(現阪神)の3人が世代No.1投手を争う構図となった。切磋琢磨しあい、同世代の中でも群を抜いた投手となり、それに続く大型投手が現れた。

23年も投打ともにその構図が期待される。

切磋琢磨しあう3人の左腕投手たち

 

23年のドラフトが豊作年である理由。それは各ポジションにライバルがいるから!【23年ドラフト候補高校生リスト】 | 高校野球ドットコム
東松 快征、前田 悠伍、仁田 陽翔

投手では、前田 悠伍投手(大阪桐蔭)がリードする。今夏の甲子園で下関国際(山口)戦を迎えるまで防御率0.00を記録していた「スーパーピッチャー」だ。140キロ〜145キロの伸びのある直球には威力があり、スライダー、カットボール、ツーシーム、カーブとのコンビネーションを駆使した投球は、なかなか打ち崩せない。下関国際戦は高めに浮いた球を痛打され、春の近畿大会決勝・智辯和歌山戦以来の敗戦投手となった。果たして、この負けがさらに難攻不落の存在となるか注目だ。

その前田を強烈に意識するのが、東松 快征投手(享栄)だ。最速は149キロ。前田はキレ型の直球を投げるが、東松は威力型。スライダーの切れ味も抜群で、スピード、威力そのものは前田を上回る。東松は「ゲームメイクなど投手としての技術は前田投手が上で、リスペクトしているが、それでも負けたくないですし、ドラフト1位になるために取り組んでいます」と語る。負けず嫌いの性格で、コーチとのダッシュの競争でも張り合いを見せるほどだという。多くの選手をプロへ輩出した大藤監督も「この負けん気の強さを持った選手は現代ではなかなかいないです」とマインドの強さに太鼓判を押す。今年の愛知も厳しい戦いが予想される。それを勝ち抜くことができるか。

潜在能力では、この2人に負けない素質を持ったのが、仁田 陽翔投手(仙台育英)だ。肩、肘が柔らかく、最速147キロの直球は切れ味抜群。130キロ前半のスライダーも切れ味がある。1球1球の質はこの2人に負けないものがあり、ベストボールはこの2人より凄いと思うものがある。仁田もまた前田に刺激を受けたようで、6月の大阪桐蔭との練習試合で前田を間近でみて、自分の足りないものを実感した。新チームでは、主力投手としての立ち位置になると思うが、そこで別格のパフォーマンスを示し、ドラフト上位候補として評価されるまでになるか注目だ。

ドラフト上位候補になりそうな右腕たち

 

23年のドラフトが豊作年である理由。それは各ポジションにライバルがいるから!【23年ドラフト候補高校生リスト】 | 高校野球ドットコム
松石 信八、平野 大地、宮國 凌空

直接的なライバル関係はないが、右腕投手の成長も著しい。平野 大地投手(専大松戸)は最速150キロを計測する。専大松戸は今まで多くの好投手を輩出してきたが、スケールの大きさという点では歴代No.1といっていいぐらいのポテンシャルがある。ただ並外れた速球を投げるからこそ、消耗度も大きい。平野がドラフトの目玉になるためには、専大松戸の投手、野手全体の底上げが重要となる。宮國 凌空投手(東邦)も沖縄出身の速球派右腕で、140キロ後半の速球は伸びがある。さらに、松石 信八投手(藤蔭)も140キロ後半の速球は伸びがありモノが違う。エースとして活躍できるか注目だ。

23年のドラフトが豊作年である理由。それは各ポジションにライバルがいるから!【23年ドラフト候補高校生リスト】 | 高校野球ドットコム

[page_break:佐々木麟太郎を筆頭にNo.1スラッガーを争う逸材たち]

佐々木麟太郎を筆頭にNo.1スラッガーを争う逸材たち

 

23年のドラフトが豊作年である理由。それは各ポジションにライバルがいるから!【23年ドラフト候補高校生リスト】 | 高校野球ドットコム
真鍋 慧、明瀬 諒介、佐々木 麟太郎、佐倉 侠史朗

23年のドラフトが豊作年である理由。それは各ポジションにライバルがいるから!【23年ドラフト候補高校生リスト】 | 高校野球ドットコム

一方、野手では、夏の大会で高校通算74本塁打をマークした佐々木 麟太郎内野手(花巻東)が最も注目される。今後も勝ち進むごとに注目されるであろう。通算本塁打数はもちろんだが、まずはセンバツがかかった試合でどれだけ勝負強さを発揮できるかに尽きる。この世代を代表する野手に相応しいパフォーマンスを見せられるか注目だ。

佐々木とともに注目されるのは、真鍋 慧内野手(広島広陵)。この夏は3回戦で敗退し、真鍋は最後の打者となった。その悔しさをバネにレベルアップを目指している。

昨秋の明治神宮大会ではともにホームランを打ったスラッガー。世代を牽引する活躍が期待される。

この2人に負けじと伸びてきたのが、佐倉 侠史朗内野手(九州国際大付)だ。福岡大会では、特大ホームランを放つなど、野手としてのポテンシャルの高さは、この2人に負けないものがある。佐倉も同世代のライバルである佐々木、真鍋に刺激を受けながら、荒削りそのものだった打撃フォームが少しずつ削がれ、洗練されてきている。甲子園では悔しい結果に終わったが、秋以降の活躍につながっていくことだろう。

この3人を追うのは明瀬 諒介内野手(鹿児島城西)。世代屈指の長打力を持ったスラッガーとして評価が高い。

9月、10月となれば、新スターの登場が多くあるだろう。この世代は入学前から評判が高かった逸材。ぜひそうなることを期待したい。

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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