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智辯学園、天理が優勝争いの中心になるか 2強に挑む実力校にも注目

2023.07.08


 第105回全国高校野球選手権奈良大会が7月8日に開幕。35チームが出場し、春に4強入りした智辯学園天理御所実橿原がシード校となった。6月23日に行われた組み合わせ抽選会の結果も加味しながら大会を展望していきたい。

 優勝争いは今年も智辯学園天理が中心になるだろう。両校は決勝まで当たらない組み合わせで、2強を倒すチームが現れるかが一つの見どころとなりそうだ。

 春の近畿大会を制した智辯学園は、3年生に昨年から主力として出場していた選手が多く、戦力が充実している。投手は中軸を打ち、遊撃手もこなす最速146キロ右腕の中山 優月投手(3年)が柱。野手には強肩の高良 鷹二郎捕手(3年)やプロ注目の強打者・松本 大輝外野手(3年)、走攻守の揃った川原崎 太一外野手(3年)などタレントが揃う。さらに1年生の近藤 大輝内野手が思い切りの良い打撃で三塁手のレギュラーをつかむなど、選手層に厚みが増してきた。甲子園出場はもちろん、全国制覇も視野に入れられるチームだろう。

 秋の優勝校で、夏連覇を狙う天理も各学年に好選手が揃う。3年生にはエース左腕の中川 輝星投手(3年)や主将でリードオフマンの下林 勇希内野手(3年)、強打の赤埴 克樹捕手(3年)などが中心選手。2年生は藤原 凪秀外野手、松本 大和内野手、大谷 汰一外野手のクリーンアップが打線を引っ張る。特に松本と大谷は昨夏の甲子園でも活躍し、来年のドラフト候補にも挙がってきそうだ。1年生では赤埴の弟である遊撃手の赤埴 幸輝内野手に加え、冨田 祥太郎内野手が一塁手、下坊 大陸外野手が中堅手で既に公式戦デビューを春の間に飾り、夏も重要な戦力になってくるかもしれない。

 その天理と初戦で対戦するのが5年ぶりの甲子園を目指す奈良大附武廣 祐輝内野手や堤野 大雅外野手(ともに3年)を中心に打力があり、投手陣の層は厚い。秋は智辯学園、春は天理とそれぞれ初戦で対戦して敗れているが、総合力は県内上位レベル。初戦で強敵を下し、勢いに乗ることはできるだろうか。

 秋に近畿大会で8強入りしながらもセンバツの選考から漏れてしまった高田商は夏にその悔しさをぶつける。主将の北嶋 悠輝捕手(3年)が仲井 颯太投手(2年)と宮武 大輝(3年)の両技巧派左腕をリード。打線はムードメーカーの東口 虎雅外野手(3年)が3番に座り、打線を引っ張る。例年はディフェンス型のチームを作ってくるが、今年は打力も備わり、バランスの良いチームが形成された。

 高田商は春に3回戦で智辯学園に敗れたため、ノーシードからの戦いとなる。高田商と同じAゾーンのシード校は橿原。エースで4番の下西 遼介投手(3年)を中心に打力が高い。下西に続く投手の台頭があれば、春以上の成績も見込めるだろう。

 春3位の御所実は、昨年からの主力が多く、経験値で優位に立つ。投手は185センチの長身から最速141キロの速球を投げる安田 星翔投手(3年)を筆頭に多彩。野手も好守の遊撃手・大畑 空太内野手(3年)や逆方向にも長打が打てる4番の深澤 玲央内野手(3年)など実力者が揃う。

 御所実のいるCゾーンにはノーシードの有力校が集った。特に橿原学院奈良女子大附の初戦対決は注目の好カード。橿原学院は投打に選手層が厚く、春には1年生の起用が見られた。奈良女子大附飯塚 玲偉投手(3年)、樋口 聡太外野手(3年)、野村 英暉捕手(2年)、石田 倖生内野手(3年)と並ぶ上位打線が強力。春は中盤まで天理と互角の戦いを繰り広げた。

 奈良北萩原 晃暉投手(3年)がエースで4番としてチームを牽引する。近年は強豪私学と好ゲームを演出することもあり、今夏も十分に上位を狙えそうだ。

 昨夏準優勝の生駒はレギュラーが大幅に入れ替わっているが、昨夏のような快進撃を起こせるか。

記事=馬場 遼

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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