試合レポート

西武台vs埼玉栄

2022.09.21

我慢の展開だったが西武台が9回、4点を奪い埼玉栄を突き放す

西武台vs埼玉栄 | 高校野球ドットコム
2失点で完投した西武台・大山君

<秋季高校野球埼玉県大会:西武台6-2埼玉栄>◇21日◇2回戦◇越谷市民

 台風14号の影響で、大会日程が変更となった埼玉県大会。当初はこの日、3回戦が予定されていたのだが、継続試合などもあり、この日が2回戦残り試合ということになった。朝は、台風の余波もあってか、まだどんよりとした天候だったが、この試合で7回を過ぎた10時半頃からは陽射しも出てきた。

 そんな中での越谷市民球場では、西武台埼玉栄とが引き締まった好試合を繰り広げた。

 8回を終わって2対2。試合時間もここまでで1時間30分とスピーディーなものだった。それは、西武台の大山、埼玉栄の山下の両投手が制球もよく好投していたからでもある。そして、スコアも2対2。延長戦もありそうかなというところでもあった。

 西武台の河野創太監督は、普段は選手の自主性に任せて攻撃前の円陣ではあまり細かいことは言わないという方針なのだが、この回の攻撃前には、「延長もありだから、この回で決めようとしないで凡打でもいい当たりが出ているから、今まで通り行こう」ということを伝えたという。それで却って選手たちは気が楽になったところもあったのだろうか。

 2番からの好打順だったが、神杉が中前打で出ると、金田も中前打で続いて一、二塁。4番杉本にあえて送りバントで、これがしっかり決まって1死二、三塁。続く渡邉は1-1の並行カウントから三塁線を抜ける二塁打を放って2者がかえった。渡邉は、「三塁手に取られるかなと思ったのですが、感触は良くて打球も速かったので抜けました。コーチャーが腕を回していたので二塁までいけました」と、試合後はニコニコの笑顔で話してくれた。ここで二塁打としたことで、続く太田の左前打で生還して追加点。さらに、太田も送球間に二塁へ進んでいた。これが効いて、さらに暴投があって、捕手が球を見失っていたということもあって太田も一気にホームへヘッドスライディングでかえって、この回4点。展開としては決定的となった。

 その裏、埼玉栄も先頭の代打・斎川が安打するなどして反撃を試みたが、最後は1死一塁で投ゴロ併殺。9回を投げ切った大山は、「先頭に安打されましたけれども、焦りはなかったです。最後の投手ゴロ併殺は、自分はフィールディングがあまり得意ではないんで、朝練でノックを打ってもらってやってきた成果が出たと思います。自信にもなりました」と嬉しそうだった。

 河野監督は、「こうした我慢の展開は練習試合でも何度か経験していますから、ベンチの雰囲気も悪くはなかったです。6回と7回に1点ずつ返したところも、しっかりとバントで送ることができたのも大きかった」と、手堅く攻めていく形を練習でやってきたとおりにできたことが勝因だということを述べていた。

 埼玉栄は3回、2死走者なしという場面から1番中村以下、井上、楯、新川の4連打で2点を先取して前半の主導権は奪っていた。

 しかし、整備後の6回に西武台は失策の走者を生かしてバントで進めて2番神杉の内野安打で1点差とする。そして7回は、3番金田が右前打で出て、四球後バントで二、三塁として太田の右犠飛で同点とした。この、中盤の手堅い攻めが、9回の4点を呼び込むことになったと言ってもいいのではないだろうか。そして、それを導いたのは、大山がタテの変化球、チェンジアップの握りのようなフォークが決め手となって、しっかりと抑えていたというところも大きかった。

 「まずはベスト8。そこからまた、先を見つめていきたい」という姿勢で次へ挑んでいく。

 埼玉栄としては、3回はいい形での得点だったのだが、その後は大山を攻略しきれず、歯切れのいい投球で、8回まではわずか3安打に抑えていた山下の好投に応えられなかった。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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