<2025年全国高校野球選手権鹿児島大会:神村学園7-0鹿屋工(7回コールド)>◇14日◇2回戦◇平和リース球場

 大会9日目にして、第1シード神村学園が登場。投打に力強さを発揮してコールド勝ちしたが、小田大介監督は「収穫と課題の残った初戦」だったと振り返る。

「収穫」は何といっても守備面。エース早瀬 朔(3年)が先発し、7回を2安打完封。初回に2安打されて一死一三塁とピンチを招くも、併殺で切り抜けて以降は、常速140キロ台の直球と変化球を丁寧に低めに集め、2回以降は無安打。失点の気配を与えない守備も光った。

「課題」は打線。1回は4安打で3点、2回は3安打で2点と一気に寄り切りそうな雰囲気だったが、3回から6回は無安打。「積極的な打撃と早打ちは意味が違う」と小田監督。幸先良く先制できた分、心にスキが生じ、ボールを見極めず高めを早打ちして打ち上げて飛球アウトが相次いだ。今夏のテーマは「継打一心」。心を一つにして低い打球でつなぐことを心掛ける。それができた1、2、7回は得点できたが、できなかった3回から6回の無得点の攻撃が次戦以降の反省点だ。

 神村学園の小山琳太(3年)のベンチの場所が変わっているのが目を引いた。昨夏は「ベンチを盛り上げる男」として2年生ながら背番号19をつけ、小田監督の真横に立ち、的確な声出しでチームを支えていた。3年生になったこの夏の初戦は、監督と反対側、塩田将孝部長の横に立っていて、ベンチスタートだったが背番号は3になっていた。

 「いつもはベンチの真ん中が定位置なんですが…」と小山。大事な初戦は明け方まで降った雨のため開始時間が1時間ほど遅れた。グラウンドの土も緩く、外野は風の影響を受けそう。「内外野に一番声の通る場所」で塩田部長の隣を選んだ。

 攻撃時は三塁ランナーコーチに「昇格」。走者を回すか、止めるか、得点につながる大事な仕事を任された。7回表二死二三塁、4番・梶山侑孔(2年)の打球は鋭く速いスピードで三遊間を抜けた。二走・入耒田華月(3年)にどう指示するか、判断が求められるが「入耒田のスタートが良く、最短ルートで走っていたので思い切って回した」。左翼からジャスト返球が返ってきて、クロスプレーとなったが、判定はセーフ。コールド勝ちを決めた。

 思い返すのは1年前の夏、甲子園準決勝で関東第一高と対戦した時、最後のクロスプレーがアウトになって敗れたシーンだ。「三塁コーチは0・1秒の判断が求められる」と痛感した。今年はベンチを盛り上げるだけでなく、慎重かつ大胆さが求められる重責も担うほど成長したということだ。