都立日野vs立正大立正
エース・木下 孔晴が4安打完封勝利!
先発・木下孔晴(都立日野)
昨秋ベスト16の都立日野は実力校・立正大立正と対戦。1回裏に2点を先制し、さらに1点を追加するなど序盤まで3点をリード。
ベスト16入りに貢献したエース・木下 孔晴が4安打完封勝利。夏のシード獲得まであと1勝とした。
全国の学校が緊急事態宣言の影響、あるいは新型コロナウイルス拡大の影響で、短時間練習、練習自粛を余儀なくされたが、その中でも都立校は3月20日まで活動休止となった。
都立日野の嶋田監督は自主的に練習を行う選手たちに対して、ある指示を出した。
「全体練習再開後に体力測定を行うので、低い選手は試合に出さない」
自主練習期間中でもフィジカルをしっかりと伸ばしてほしい。指揮官の思いは選手たちのパフォーマンスに表れていた。練習期間が短いとパフォーマンスを落としやすい。特に全体練習が禁止だった都立校はその影響が出やすい。しかし都立日野の選手たちの動きを見ると、実に力強い。伝統の強打は3得点に終わったが、12安打。打球の1つ1つが力強かった。その中で目を引く打撃をしていたのが、2年生4番・廣岡太平と5番長町真生だ。
4番・廣岡は武蔵府中リトルシニアでプレーしていた選手でスイングのメカニズムを見ると縦振りでボールの下をとらえて遠くへ飛ばす狙いが見える。3打席ノーヒットが続いていたが、第4打席で二塁打。まだ軸のブレが大きく、ミスショットも多い。ただ都立日野の打者育成力の高さを見ると、最終学年ではかなりの本塁打を量産する可能性を持った打者だ。
また2点目の右前適時打を放った長町も174センチ78キロと恵まれた体格をした捕手で、パワフルなスイングから繰り出す打球の速さは素晴らしいものがあり、スローイングも安定しているので、このまま実績を重ねていけば、野球関係者も注目する打者になるのではないか。
4番ライト・廣岡太平(都立日野)
都立日野は投手の育成にたけているが、木下はテクニックが優れている。事前の情報によると、常時130キロ台の直球を投げると聞いていたが、120キロ後半がほとんど。ひっかけるボールが多いので、調子が悪いように見えて、本人にあまり調子は良くなかったと聞くと、「そうですね。秋のほうがまとまっていたと思います」と秋より調子は落としていたと語る。というのは自主練習期間中、実践学園でプレーしていた兄と投球フォームを見てもらっていたが、やはりマウンドで練習できない影響は出ていた。
「傾斜で投げる投球練習は本当に大事で平地で投げることに慣れてしまうと、平地で投げる体の使い方になってしまうので、再開したときに取り戻すのに苦労しました」
本人はまだ調子を取り戻せていない。それでも直球、変化球を丁寧に投げ分けて、完封してしまう投球術のうまさはさすがである。
課題はタイムリーが出るか。嶋田監督も「タイムリー欠乏症」と表現するように12安打3得点は、やはり次の試合へ向けて改善したいところ。想像以上に打者のポテンシャル、仕上がりは良い。2回戦では強豪・東亜学園との対戦を迎える。打倒・私立に燃える都立日野にとって正念場となりそうだ。
敗れた立正大立正は山本 紘正が3失点の力投を見せた。右サイドから120キロ中盤の速球、スライダーを丁寧に投げ分ける投手。世田谷西シニア時代はベンチ外だったが、地道な努力を重ね、背番号1を獲得。内田監督も「粘り強く投げてくれましたし、今後は山本以外の投手が公式戦で投げられるまでに育てたい」と投手陣の底上げを課題に挙げ、完封負けに終わった打線については「入学当初は例年以上に力があるチームだと思っていました。この内容に終わったのでもう一度、鍛えなおしていきたいです」
試合を見ても打撃能力がそれほど低いチームとは思えず、はまれば高い得点力が期待できる潜在能力のある選手は見られた。夏までの浮上を期待したい。
(記事:河嶋 宗一)