試合レポート

日大豊山vs帝京

2019.07.22

日大豊山の瀬崎、被安打6の完封!打撃不振の帝京、ミスに泣く

 この夏の帝京は、ここまでの3試合を無失点に抑えている一方で、得点も合計6と、低調だ。対する日大豊山は、横手投げのエース・瀬崎絢を中心にノビノビとした野球を繰り広げている。

 日大豊山の瀬崎は、130キロ台後半のストレートに、チェンジアップやツーリズムなどで帝京打線を封じる快調な立ち上がり。

 対する帝京の先発、2年生左腕の田代涼太は、球威のある球を投げていたが、1回、2回と味方の失策で走者を出し、リズムに乗り切れない。

 それでも4回表日大豊山は、安打2本と四球で二死満塁となったが、田代は1番・小宮佳太を投飛に打ち取り、得点を与えない。

 白熱の展開になっても、日大豊山の福島直也監督はベンチの中で明るく笑う。この夏の日大豊山ベンチからは、明るくノビノビとした雰囲気が伝わってくる。

 6回表日大豊山の8番・瀬崎の打球は、二遊間の難しいコースに飛んだが、1年生遊撃手の武藤闘夢が軽快にさばく。するとその裏帝京は、この回先頭の1番・大内智貴が四球で出塁したが、「インコースを強気に投げました」と語る日大豊山の瀬崎は、バントすら許さない。

 0対0の均衡は思わぬ形で崩れる。7回裏日大豊山は、1番・古宮が内野安打で出塁すると、2番・小野澤慶一が一塁線にバント。これを好投していた帝京・田代がつかみ、一塁に送球しようとする。しかし送球コースと一塁に向かう打者走者が重なったためか、一塁への送球は暴投となり、球は外野に転がる。これで古宮は、一気にホームを突いてホームイン。日大豊山が待望の先取点を挙げる。

 それでも帝京の田代は、追加点は許さない。対する日大豊山の瀬崎は、7回裏は安打2本などで二死一、三塁としたが、9番・田代は中飛に倒れる。8回裏も安打と四球で二死一、二塁のチャンスがあったが、ここは瀬崎が、帝京の5番・加田拓哉を三振に仕留める。

 帝京の追い上げに、日大豊山の福島監督は、試合序盤の笑顔は消え、厳しい表情になる。「ピンチになっても笑顔で行こうと言っていましたが、緊張していました。でも生徒たちの方が分かっていて、笑顔でやっていました」と、福島監督は語る。

 日大豊山の瀬崎の級は最後まで落ちない。9回裏帝京は、この回先頭の寺地裕幸が三失で出塁し、遠藤十壮琉の犠打で二塁に進んだが、8番・浜崎斗馬は三振。9番、好投していた田代に代えて、代打に阿出川瑠己を送る。2年生の阿出川は、瀬崎にとって、中学生時代に所属していた志村ボーイズの1年後輩になる。力があるのは分かっているだけに、渾身の投球をして三振に仕留め試合終了。1対0で日大豊山帝京を破った。

 試合後帝京の前田監督は、「打てなかった。でも選手はよくやってくれました」と語る。ただし、エラーが決勝点になったことに関しては、「こういうゲームは、ミスをした方が負け」と厳しい表情で語った。

 この夏の帝京は、打撃不振が最後まで響いた。それでもこのチームには、小松涼馬をはじめ1,2生に逸材が多い。悔しい敗戦の夏からの進化が注目される。

 一方勝った日大豊山の準決勝の相手は、昨夏の5回戦、そして4年前の夏の決勝戦で当たり大敗している関東一。福島監督は、「覚悟を決めてやります」と語った。

(文=大島 裕史

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会
■開催期間:2019年7月7~7月27日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会東東京大会】
■展望コラム【【東東京大会展望】二松学舎大附の夏三連覇を阻むチームは現るか?東東京大会を徹底解剖!】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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