試合レポート

大宮東vs埼玉栄

2019.07.20

島村が2本の満塁弾!埼玉栄との激戦を制し、ベスト16!

 
 埼玉栄大宮東の一戦は高度な熱戦となった。先制したのは大宮東だった。まず1回表、一死満塁のチャンスから5番島村大樹が外角直球をとらえ、左中間に飛び込む満塁本塁打でいきなり4点を先制する。

 さらに4回表、大宮東は5番島村が内角直球を振り抜き、レフトオーバーの二塁打、さらに8番大久保篤のレフトフェンス直撃の二塁打でさらに1点を追加。そして5回表、満塁のチャンスに、5番島村。またも満塁本塁打が出るかも知れない。観客の期待に島村は応える。追い込まれてから内角直球を振り抜き、ライトスタンドに消える満塁本塁打!大宮東の選手も、観客全体も大興奮の一打となった。

 ここで埼玉栄の先発・北村修造が降板。長身左腕の北村は春季大会よりも成長は見せており、常時120キロ後半~133キロと平均して3、4キロもスピードアップしており、おっと思わせるストレートはあった。さらに120キロ前後のスライダーの切れ味も悪くなかった。ただ要所に島村に2本の満塁本塁打を打たれてしまったのは悔いに残っただろう。打った島村が見事。その一言しかない。

 島村は投げても4回まで無失点の好投を見せていたが、5回裏につかまる。途中出場の内田了介(2年・右投げ右打ち・181センチ77キロ)が適時二塁打を放ち、1点を返され、その後、二死一、三塁となって3番清水玲央(3年)が痛烈な左前安打を放ち、そして4番和田康平(3年)が大きく打ち上げた打球がライトへ落ちて右前安打となり、3点目を返す。その後、満塁となって、6番・江城優明(2年)が島村の速球を痛烈に中前安打を放ち、これで9対5と4点差に。江城は180センチ76キロの大型外野手で、縦振りのスイング軌道でとらえる打球の速さは圧巻。身体能力も非常に高い選手なので、来年以降、埼玉県を代表する野手となる可能性を持っている。


 5回途中からマウンドに登った内田は楽しみな2年生右腕だった。ワインドアップから始動し、左足を勢いよく上げていき、右腕を振り下ろすオーバーハンド。最速143キロのストレートは威力十分で、計測した6回~7回まで140キロ以下は2球のみ。平均球速141キロと圧巻のスピード能力でぐいぐいと押す。埼玉栄の速球派右腕といえば、米倉貫太(Honda)を思い出させるが、米倉の高校時代と比較すると、しなやかさは感じないが、ボールの威力は米倉より上回っている。8回以降、130キロ前半の速球も増えてきたが、その代わりに120キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブを投げ込むなど緩急を使う投球を見せてくれた。最終的には平均球速139.38キロと十分なスピードを見せてくれた。このままいけば、145キロを超える可能性を持っているだろう。

 そして9回裏、埼玉栄は3番清水の内野安打と敵失で二塁のチャンスを作ると、4番和田が痛烈な中前適時打を放ち、6対9と3点差に迫る。

 和田の打席の威圧感、スイングスピード、打球速度はドラフト級。ここまであまり話題にあがっていない選手だが、打者としては超高校級のレベルだと思う。その後、島村を追い詰める埼玉栄打線だが、あと一歩及ばず、大宮東埼玉栄を破り、5回戦進出を果たした。

 名門校同士の対決ということで、ハイレベルなゲーム内容だった。大宮東はエースで満塁本塁打2本放った島村に注目が集まるが、ショートストップ・佐藤亮太(2年・右投げ左打ち・174センチ70キロ)、2年生スラッガーの大河原凱(2年・右投げ右打ち・180センチ88キロ)、シャープな打撃と巧みな一塁守備を見せる熊本寛大(3年・右投げ左打ち・169センチ65キロ)と野手陣のレベルも高く、個々の選手たちのポテンシャルは素晴らしいものがある。

 非常に見どころのあるチームだといえるだろう。次は伝統校・上尾。またも激しい戦いが期待できるだろう。

(文=河嶋宗一

2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会埼玉大会
■開催期間:2019年7月10~7月28日(予定)
■組み合わせ表【2019年 第101回全国高等学校野球選手権大会埼玉大会】
■展望コラム【今年の埼玉は大混戦!シード校の戦力とシードを脅かすノーシードを徹底紹介!】

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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