試合レポート

大森学園vs錦城学園

2017.07.10

大森学園が死闘を制する!敗れた錦城学園も逸材がゾロゾロ

 昨秋ベスト32の錦城学園大森学園の対決。大森学園は近年、あまり夏は勝てておらず、さらに秋も春も、都大会に出ていないが、春のブロック予選ではベスト16の共栄学園に、4対5の接戦を演じている。それだけに怖いチーム。試合は前評判通りの1点を争う熱戦となった。

大森学園の先発・浪岡将史(3年)は182センチ77キロ。恵まれた体格をした本格派右腕。コンパクトなテークバックから振り下ろす直球は常時130キロ~135キロを計測。120キロ前後のスライダー、110キロ前後のチェンジアップ、110キロ前後のカーブを丹念に低めに集める投手で、両サイドへの投げ分けもしっかりとしている投手。将来的には、140キロ超えも十分可能な投手。フィールディングも軽快で、クイックも1.2秒台と安定している。立ち上がりは速球と変化球を駆使して、三者連続三振を奪い、快調な立ち上がり。

1回裏、大森学園は一死一塁から3番地下郁貴(3年)が中前安打でつなぎ、4番守屋仁稀(3年)が112キロのカーブを思いきり叩き、レフトスタンドのポールに直撃する3ランで3点を先制する。守屋は185センチ80キロと恵まれた体格をした右のスラッガー。スイングの幅が広く、いわゆる外回り系のスイングだが、捉えた時の打球の速さは圧巻。外野手としての動き、地肩の強さは標準レベル。将来性が高い選手である。

 だが3回表、錦城学園が反撃開始。2番園田小哲(1年)がライトスタンドへ飛び込む2ランで、1点差に。園田は1回に、センターへ抜けそうな打球をバックハンドでキャッチするファインプレーを見せているように、一歩目の出足の速さ、守備範囲の広さが魅力。第2打席以降も、しっかりと捉えたゴロ、ライナーが多く、1年生ながらスタメンの座を獲得しているのが十分うかがえた。園田の一発に乗った錦城学園は4番山田晃我(3年)が同点となる左中間を破る適時二塁打を放つ。

 錦城学園の4番山田も勝負強い強打者だ。170センチ80キロとがっしり体型の三塁手で、太ももの太さが強靭なパワーを生んでいる。構え方が安定して、スクエアスタンスで構える姿には隙がなく、ボールが見やすい形となっている。小さいステップで踏み込んでいき、トップをしっかりと作って、内回りのスイング軌道でボールを捉えることができる選手。この試合では4安打を打つことになる。さらに、球際が強い三塁守備も必見。鋭いゴロもシングルハンドで捕球し、ランニングスローでアウトにする身軽さ、強肩と攻守ともにバランスが取れたプレイヤーだ。

 さらに5番塚田光咲(3年)が勝ち越しとなる適時打を放ち、4対3と逆転に成功する。浪岡はこの回で降板。1、2回はコーナーへ投げ分けができていたが、3回ではボールが高めに浮き、配球も単調になったところが狙われていた。


 錦城学園の先発・星天太(2年)は、初回に3点を失ったが、その後は走者を正負いながらも粘り強い投球。投球フォームは上條 将希 (市立川越-法政大)をほうふつとさせるようなフォーム。真っ向から振り下ろすストレートは、120キロ後半なのだが、170センチでもうまく角度を使って投げることができているので、振り遅れする場面が目立った。そこから110キロ前後のカーブ、115キロ前後のスライダーを織り交ぜながら投球を展開。まだ甘い球も多く、課題は多い。だが、170センチ64キロと細身で、人を変えるつもりで、体作りをしていけば、一変するようなストレートを投げ込む可能性は秘めている。

 大森学園は、4回表から、2番手右腕の篠原祥吾(3年)が登板。篠原は右サイドから、125キロ~132キロのストレート、115キロ前後のスライダーを投げ分け、粘り強いピッチングを見せて、粘り強く抑えていく。

 追加点が欲しい錦城学園は二死から酒井玲音(3年)の適時二塁打で、5対3と大きな追加点を入れる。だが、8回裏、大森学園は二死満塁から1番植田航汰(3年)の右前適時打で追いつく。

 そして9回裏、大森学園はあと1本が出ず、試合は延長戦へ。10回裏、大森学園は、一死満塁のチャンスで、錦城学園は投手交代。2番手に小澤陽昇がマウンドに登った。しかし制球が定まらず、カウント1ストライク3ボール。そして次のボールが外角へすっぽ抜け、押し出し。大森学園が激戦を制し、3回戦進出を決めた。

 お互い力を出し切った好ゲーム。選手たちのレベルの高さはシード校の選手たちと引けを取らないぐらい素晴らしいものだった。

(レポート=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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