愛知vs渥美農
強風でも集中力を失わない対応力を見せた愛知
愛知・原投手
時に砂塵も舞うような強風が吹いている[stadium]岡崎市民球場[/stadium]。丘の上だけに風がさらに強くなるのだろうけれども、最大風速18メートルとも言われているくらいの中で始まった試合。
愛知は先頭の三輪君がいきなり左中間を破って、好走塁で三塁を陥れた。風は関係ない好打好走塁だった。その後四球などもあって、一死三塁で4番梶野君が大きな犠飛を放って、愛知が先制した。4回にも愛知は先頭の5番出口君が中前打で出ると、犠打失策で無死一二塁。小林君が送り、8番小倉君のスクイズで2点目を挙げた。
さらに5回、一番からの好打順の愛知は三輪君が四球で出ると、小森君が右線二塁打して無死二、三塁。甲斐君の中前打と、梶野君の二塁打でさらに2点を追加して、優位に立った。6回にも7番小林君が、風にも乗ったが左翼芝生席へ放り込むソロホーマーで追加点を挙げた。
ところが、球場の強風はどちらかと言うと渥美農に有利になっていっていた。5回は二死走者なしから鈴木悠斗君が四球で出ると、続く8番鈴木滉己君は中飛かと思われた打球だったが、風で流されてポトリと落ちて二塁打となり鈴木悠君が帰った。また、6回も先頭の鈴木海都君の左越二塁打の後、一死となって山上君の打球はファウルかという打球が風で流され右前にポトリと落ちて、一三塁となる。山上君が二塁盗塁すると、野手が送球をこぼしたこともあって三走が生還。一塁走者も三塁まで進んで、森田君の左前打で帰って、渥美農は2点差とした。
試合そのものも、どう流れていくのか、わからない展開になっていった。
渥美農は右上手投げの山上君が丁寧に投げようとしていく。愛知はサイドスローというよりもアンダーに近い原君が、スピードはないながらも、コースを突きながら交わしていくというタイプだ。お互い走者は出しながらも、何とかこらえているという感じだったが、早めにスイッチしたのは愛知ベンチだった。7回、一死後鈴木滉己君に風にも乗って戻された二塁打が出たところで、錦敦人監督は、原君を下げて山田君を送り出した。山田君は後続を上手に打たせて凌いだ。「出来れば、(原君は)7回まではもってほしかった」というのは、錦監督の思い出もあった。山田君は、8回は連続四球などでピンチを作りかけたものの、三直併殺などもあって何とか切り抜けた。
愛知は8回にも二塁打の小林君がバント失策で進み、併殺の間に生還して追加点を挙げていた。
渥美農も鈴木至紀監督が細かく投手をつないでいく。8回の鈴木優人君から、9回は三塁からマウンドに上がった青木君が3番手としてリリーフして抑えて反撃を待った。しかし、その裏は二死から連打で走者をためたものの最後は山田君に抑えられた。
強風の中の試合だったが、愛知の錦監督は、「今日はこういう風になるということは、昨日からわかっていましたから、集中を切らすなと、今日は対応力が試される試合になるんだぞということは言っていました。結果としては…まぁ、対応出来ていたのではないでしょうか」と、選手たちを評価した。風にも乗った本塁打を放った小林君については、「うーん、7番だけれども、パンチ力はあるんですよ。だから時々ああいうのが出ます」と、これは風だけではないということも強調していた。
現在は52人という愛知。かつては、甲子園出場もあり、プロ野球選手を何人か輩出したという実績もある。今季のチームは、新チームの最初の名古屋市内大会一次予選は全敗からスタートしたという。どん底から這い上がってきて、今大会はベスト8まで登ってきた。夏のシード権も得て、「強い愛知」復活への兆しが見えかかってきた。
(文=手束 仁)
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