岩倉vs東海大高輪台

5回本塁打を放った岩倉・伊勢

　秋は強力打線でベスト4に進出した東海大高輪台は、春は3回戦から出場。

　対するセンバツ優勝経験もある伝統校の岩倉は、1回戦からの登場で、背番号10ながら主戦の市川 幸輝は中1日で3試合続けて登板している。岩倉の試合慣れと、市川の疲労のどちらがより多く作用するかは、試合のポイントとなると思われたが、1回表から岩倉打線が爆発。公式戦を経験してきた岩倉の勢いにが、試合の流れを決めた。

　東海大高輪台は、背番号1の日高 拓海が先発。立ち上がり、球はそこそこ走っているように思われたが、岩倉の1番・伊勢 海星は、7球目を左中間に運び三塁打。続く2番・安田 拓矢、3番・小岩 和樹と連続二塁打。4番・涌井 和人は三振だったものの、5番・今野 宏洋も左右間を破る二塁打を放ち、1回表で3点が入った。

　東海大高輪台の宮嶌 孝一監督は、「（日高の）球自体は悪くなかったと思いますが、コントロールとか、緩急をつけた投球ができなかった」と語る。

　2回表も岩倉は、二塁打の9番・弓指 匠を安田が中前安打で還し1点を追加。3回裏東海大高輪台は2番・森田 直人がライトフェンスを越える3ラン本塁を放ち、反撃するかに思われた。しかし秋は打ちまくった打線が、岩倉の身長165センチの右腕・市川の丁寧な投球に、それ以上の追加点は奪えない。

東海大高輪台先発・日高

　逆に4回表は、外野手の失策もあり岩倉が2点を追加。5回表には、二塁打の市川、死球の弓指を一、二塁に置いて、1番・伊勢がライト柵越えの3ランを放つ。伊勢は、1回戦は二塁打2本、2回戦は二塁打1本で、この試合でも本塁打に三塁打と当たりに当たっている。岩倉の豊田 浩之監督は、「どさくさまぎれの1番です」と語っているが、脅威の1番打者になりつつある。

　さらに5回表は、4番・涌井の左前安打などでもう1点を追加している。結局1回の3点と5回の4点が試合を決定づけ、10対3、7回コールドで岩倉が、秋4強の東海大高輪台に大勝した。

　岩倉の豊田監督は、「今日はたまたまですよ」と謙遜しつつ、「それなりの選手しかいませんが、自信になってくれれば」と期待を語った。伊勢を中心とした打線は、今後も注目である。

　一方秋4強の東海大高輪台は3回戦で敗れ、夏のシード校にはなれなかった。「紙一重だと思うんですけど、今日は乗せてしまいました。夏に向けて、やっていくことは、たくさんあります」と宮嶌監督は語る。

　確かに嶋崎 草太郎主将を中心にした打線は、破壊力がある。しかしこの試合では、秋は大暴れした2年生の4番・大西 星夜が3打数2三振に終わるなど、中心打者が打てなかった。まさに勝負は紙一重。しかしその紙一重の差を、いかに自分たちの側に持って来れるかが、真の実力だと思う。力のあるチームだけに、夏に向けての進化を期待したい。

（取材・写真＝大島 裕史）