那覇vs豊見城
学校の体育祭で見えた”本当に気付くべき所”からひとつとなった那覇ナイン
力投する那覇・川畑勇斗。この日は打っても3安打
那覇と豊見城の試合番号は1番。普通ならオープニングカードはこの両者で決定だったが、12日は那覇高校の体育祭が組まれており、この日へスライドとなった。その直前、グラウンド使用日となっていた野球部は、体育祭の準備に取り掛かっている生徒たちに気を遣いながらも、自分たちの練習をしていた。
「体育祭だから、運動場でのライン引きなど生徒や先生たちもやることがある。それを分かっていてあえて緩いゴロを部員が打ち、それを部員が処理していたのだけど、後ろを通らなければならない女の子などはやはり怖い。大会前とはいえ自分たちのためという姿勢があったのです」と、那覇の大城監督は話してくれた。
大会前だから、という思いで頭がいっぱいの部員たちは、それだけではなかった。精一杯やるべき体育祭での、自分たちのこと(練習)でさえ身に入らない他人事のような状態。これでは一所懸命頑張っている他の生徒たちや先生たちに失礼ではないか。“それ”に気付いた嘉陽キャプテンが中心になって、徐々に変わっていったことが、この勝利にも繋がったのだった。
那覇は2回、二死から6、7番の連続ヒットで一、二塁として8番川畑勇斗の当たりはセンターへ。二塁走者が突っ込むが、ここは豊見城野手陣が上手く繋ぎ得点することは叶わない。
しかし3回、ヒットの東江椋佑を二塁へ進めて3番神里泰志がセンター前へ弾き返して同点とした。
5回には二死満塁、7回には先頭の川畑がこの日3本目となるヒット(二塁打)を放つが、豊見城翁長宏和の粘りのピッチングを崩すことが出来ず延長へ入る。
その10回、1番の池村祐人がレフト前ヒットで出塁すると犠打で二塁へ。次打者の当たりはサードゴロではあったが、これが豊見城にとっては痛恨のサヨナラ悪送球。
「ホームを狙うぞ!という池村の姿勢と足が、相手の動揺を誘ったのかも知れません」とは大城監督。流れを持ってこれたことも、豊見城の後半の攻めを凌ぎきったことも、始まりは体育祭での気付き。それがグラウンドでの気付きと粘り強さとチームの一体感に繋がったのだった。
敗れた豊見城だが、初回センター前ヒットで出塁した仲村裕之が犠打で進んだ後に三盗を決めて犠飛で先制。9回には一死から翁長が三塁打を放ち再び勝ち越すチャンスだったが、那覇バッテリーに上手くスクイズ処理されるなど、あと一歩届かなかったが、どちらが勝ってもおかしくない素晴らしい試合をやり遂げてくれた。
今春に4位になった先輩越えをするためにもこの冬、みっちりとトレーニングして逞しくなったところを見せてもらいたい。
(文=當山 雅通)
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