村松vs十日町
村松・小林、177球の粘投!第3シード・十日町をサヨナラで撃破!
2回戦から中3日おいてこの日から3回戦がスタート。台風の影響で小雨がぱらつく[stadium]新潟市鳥屋野運動公園野球場[/stadium]では、春ベスト4(試合レポート)で第3シードの十日町が登場。好投手・小林 稜擁する村松との対戦は、劇的な結末で幕を閉じた。
初回、十日町は、村松の先発エース・小林を攻め、先頭の小海(3年)がヒットで出塁すると、すかさずバントで送り、スコアリングポジションにランナーを置く。ここで3番のキャプテン・二瓶(3年)がセンター前に弾き返し、1点を先制。
だがその裏、村松・3番の藤田(3年)が、十日町先発・渡邉(3年)の内角球をうまくさばき、ライトスタンドへソロホームランを放ち、同点に追いつく。
勢いに乗る村松は3回に、二死一塁から、5番・小林の右中間を破るタイムリーツーベースで1点を勝ち越し、渡邉をノックアウト。続く4回にも、十日町・2番手の布川(3年)から一死満塁のチャンスを作り、内野ゴロで1点を追加。3対1とリードを広げる。
追いつきたい十日町は、5回表、3番・二瓶、5番・板場(2年)の2本のツーベースで1点を返す。その後、両チームチャンスを作るものの、あと1本が出ず、1点差のまま9回の攻防へ。
9回表、十日町は先頭バッターが四球で出塁し、犠打とワイルドピッチで一死三塁のチャンスを迎える。ここで4番・山田 貴一(3年)がしぶとくセンター前に運び同点に追いつく。
6回途中からリリーフし、村松打線を無安打に抑えてきた十日町エース・高橋 克幸(3年)だったが、10回裏先頭の4番・宮島(3年)にセンター前にヒットを許すと、ワイルドピッチと進塁打で一死三塁と、サヨナラのピンチを迎える。
ここで6番・小鍛冶(3年)の打球は、前進守備のショートを襲うが、ショート・小海がこれを横っ飛びで好捕。だが、スタートを切っていたサードランナーがホームに返り、ゲームセット。村松がサヨナラで、第三シード・十日町を破り、4回戦へ駒を進めた。
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エキサイティングプレイヤー 小林稜(村松・3年・投手)、高橋克幸(十日町・3年・投手)
2人のエースの出来は、好対照だった。だが、良くないと思われたエースのチームが勝つのだから、高校野球は分からない。
決して本調子ではなかったのだろう。村松先発の小林 稜は初回から制球に苦しんだ。ストライクとボールがハッキリ分かれ、与えた四球は実に8つ。カウント2ボール、ノーストライクから、配球を組み立てることも多く、捕手の近藤光もリードに苦労が見えた。
だがそこはエース。初回に2安打1四球1失点で切り抜けると。二回にも自身の四球で二死満塁、カウント3ボール2ストライクまで粘られながら何とか無失点で切り抜ける。
5回終わって111球。中盤以降も、十日町の打線の“好球必打”の打線に苦しめられながら、あと1本を許さない。
一方、6回途中からリリーフした十日町のエース・高橋 克幸は、完璧な内容。130キロ台のストレートが内外に低く制球され、9回まで、失点どころか、村松打線に安打も許さない。
ところが、勝利の女神は気まぐれだ。10回表、村松・小林は二死二塁のピンチにも動じず、後続を打ち取る。するとその裏、十日町・高橋克は、先頭の宮島に自慢のストレートをセンター前に運ばれ、動揺し手元が狂ったのか、次の打者の初球にワイルドピッチ。そしてサヨナラの場面につながっていく。
小林は、10回を完投し、177球、被安打8、4奪三振、8四球、3失点。
一方、高橋克はリリーフで3 2/3回、49球、被安打2、4奪三振、1四球、1失点。
どれだけ球数を放っても、どれだけ打たれても、どれだけ四球を与えても、勝負どころをきっちり抑える。三者凡退で抑えたイニングは3回のみながら、チームを勝利に導く気迫あふれる投球こそ、小林がエースたる所以(ゆえん)なのだろう。
高校野球ファンからすれば、頭から両投手の投げ合いを見たかった気もするが、そこは勝負の綾。両エースの、雌雄は決した。
(文=町井敬史)
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