試合レポート

県立岐阜商vs津西

2014.10.18

好テンポの投手戦は、県岐阜商に一日の長

県立岐阜商vs津西 | 高校野球ドットコム

先発した伊藤航希君(津西)

 今年で創立110年、創部90年の県立岐阜商、岐阜県を代表する名門校である。津西は、01年春以来の東海大会進出で、秋は初出場という新鋭校だ。

 県立岐阜商は注目の本格派高橋純平君、津西はスラリとスリムタイプの伊藤航希君だが、クレバーな投球が持ち味だ。そんな二人の投げ合いという試合になった。少し緊張した空気を感じさせながら始まった試合は、お互い失策も出たが、両投手が踏ん張って3回までは0対0。試合が動いたのは、4回だった。

 この回の県立岐阜商は、先頭の4番後藤君が四球で歩くと、捕逸で二塁へ進み、加藤君がバントで送り一死三塁とする。ここで、6番山田君が右前に落としてタイムリー安打となった。
その後は、津西の伊藤君が踏ん張って追加点を許さなかったものの、高橋君が安定しているだけに、県立岐阜商としては、1点でもリードしたことは大きかった。

 高橋君も、強引に三振を獲りに行くという投球ではなく、リラックスした感じで8分程度の力で投げ込んでいた。それだけに球も却って活きていたという印象だった。

 そして7回、県立岐阜商は先頭の7番大野君が中前打で出ると、しっかりと坂下君がバントで送り、9番高橋君が振り抜いていった打球は中堅手頭上を越えて三塁打となり、大野君が帰った。高橋君自身のバットで奪った追加点だけに、同じ1点でもさらに価値の大きい1点だったといってもいいであろう。


県立岐阜商vs津西 | 高校野球ドットコム

12三振奪完封した高橋純平君(県立岐阜商)

 このリードを高橋君は力むことなく、スイスイと守り切った。
終わってみたら、被安打3で与四球1、三振は12個を奪うという内容での完封だった。球数は122と少し多かったが、これには、高橋君自身も意識していて、「前半はファウルを多く打たれて球数が増えていましたから、その後は走者が出ても、併殺をとれるように投げていきました」と言うように、三振を奪っていくことには特にこだわってはいなかったようだ。

 それでも、一死三塁になった場面などでは外野手を下げさせて、あえて三振を奪いに行って思惑通り三振を奪うという、大人の投球も見せていた。

 この秋季県大会を前に就任した県立岐阜商の小川信和監督も、「今日は高橋の好投に尽きますね。立ち上がりに少し不安を感じさせたところもあったのですが、2回以降は気持ちも入れ替えて、9月の県大会の時よりもさらに成長を感じさせてくれました」と、投球内容の質が上がったことを評価していた。

 進学校の津西は、前日まで試験だったということもあって、必ずしもベストコンディションではなかったというところもあったかもしれない。特に、進学校としては、大事な大会前とはいえ、試験勉強もおろそかにはできない。それでも、チームのモットーでもある「最短時間の最大効率」を実践しながら戦っていた。

 村田治樹監督も、「限られた中で、きちんとやることはやれたと思います。ただ、力が及びませんでした」と、残念がりながらも、選手たちのここまでの頑張り、真面目に取り組んできた姿勢に対しては、高く評価をしていた。

(文=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.18

【春季関東大会】白鴎大足利・昆野が最速152キロを計測!前橋商の剛腕・清水はまさかの5失点…。チームもコールド負け!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?