西日本短大附vs九産大九産
西日本短大附が8回に逆転! エース小野が14奪三振完投勝利!
二回戦では屈指の好カード。西日本短大附は、昨年1年生ながら最速143キロを計測した小野 郁(2年)がエースとなった。昨夏4強の九産大九産も上位進出が期待される。
立ち上がりの小野は、自慢のストレートを全力で投げ込む。スピードガンが設置されている[stadium]久留米市野球場[/stadium]では、140キロ台のストレートを連発。だが、一死から2番矢野 耕陽(3年)が左前二塁打を放ち、チャンスを作ると、3番諸藤 大登(2年)が右前適時打と続き1点を先制する。だが、小野はここで踏ん張る。5番前田 一誠(3年)を空振り三振に取り、ピンチを切り抜ける。
2回表のピッチングも素晴らしかった。まず6番原口 雄臣(3年)を空振り三振に取ると、7番中島 明良(3年)も146キロのストレートで空振り三振。そして8番森岡 佑司(3年)も144キロのストレートで空振り三振に取る三振劇を見せた。
追う西日本短大附は、5番山口 卓(3年)の同点ホームランで1対1の同点に追い付く。
小野は4回まで、九産大九産打線に7奪三振。九産大九産の先発・末川 滉翔(3年)も小野に負けない奪三振ショー。175センチ65キロと上背はないが、右オーバーから投げ込むストレートは130キロ~135キロ前後の速球、縦横のスライダーのコンビネーションで4回まで7奪三振を奪う快投。
5回表、九産大九産は、1番牟田 裕槻(3年)の四球、2番矢野の犠打、3番諸藤の二ゴロで二死三塁とすると、4番武井 佑馬(3年)の右前適時打で勝ち越しに成功する。三振を奪われながらも4番の一打で2点目をもぎ取る。
ここまで末川に1点に抑えられていた西日本短大附は、5回裏に1番末石 竜也(3年)の右中間を破る二塁打、2番矛島 湧太(3年)の間にパスボールで無死三塁のチャンスを作るものの、矛島は浅い左飛、武富 章剛(1年)は三ゴロで二死三塁。4番掛林 晃弘(3年)が遊ゴロに倒れ、無得点に終わった。
そして7回裏。8番中島 優介(2年)の左前安打、9番高岩 稜城(2年)の四球を与えたところで九産大九産は投手交代。ここまでの好投の末川から左サイドハンドの因 勝太郎(2年)を投入する。
1番末石の犠打が内野安打となり、無死満塁のチャンスを作る。だが2番矛島は三ゴロ、3番武富が一ゴロで二死満塁。そして4番掛林にまわったが、因は外角低めに落ちるシュートで掛林を三振に取る。無死満塁のチャンスを作ったが、同点ならず。
小野の力投に応えたい西日本短大附は8回裏、5番山口が四球で出塁、6番小野が見逃し三振に倒れたが、7番井上 孝(3年)が左前安打を放ち、一死一、二塁のチャンスを作った。8番中島が犠打、9番高岩に代わり、代打・坂本 良輔(3年)が四球で二死満塁。ここで1番末吉が左中間を破る二塁打を放ち、二者生還し、逆転に成功。3対2にとする。ここで投手交代。右腕の河村 暁光(3年)を投入。2番矛島が四球で出塁し、再び満塁となると、3番武富が四球を選び、1点を追加し、4対2とする。
9回表には、小野が締めて、9回2失点14奪三振完投勝利を飾り、3回戦進出を果たした。
小野が1年間経てパワーアップをみせた。176センチ70キロと決して上背はないが、テークバックを大きく取って、左肩を高く掲げて、真上から振り下ろす投球フォームは常時140キロ~146キロ(最速148キロ)を計測した。指先にしっかりと力を伝わったストレートは捕手のミットまで失速しない伸びのある速球。そして変化球も素晴らしい。120キロ前後のスライダー、110キロ前後のカーブ、125キロ前後のフォークも空振りを奪うことができている。常時140キロ台の速球を投げ、なおかつキレのある変化球を投げ分け、投球を組み立てられる投手は、全国的に見ても数少ないといってもいいだろう。
西日本短大附は小野だけではなく、決勝打を放ち、広角に打ち分けられるバットコントロールが光る1番末石、1年生ながら3番に座る武富、この試合はノーヒットだったが、長打力のある打撃と強肩が光る三塁守備が魅力の掛林と素質ある選手が多かった。
九産大九州は、敗れはしたが、エースの末川、小野から2点目の適時打を放ったパワフルな打撃を見せる武井が光った。
(文:河嶋 宗一)