小野 郁選手 (西日本短大附)

小野 郁

都道府県:福岡

球歴:西日本短大附

ポジション:投手

投打:右 / 右

身長:176.0 cm

体重:70.0 kg

寸評

2年夏に最速148キロを計測した小野 郁。その成長を確認すべく熊本まで足を運んだ。能力的なモノは高卒プロへ行ける投手だろう。だが、この投手がプロで長く活躍するには克服しなければならない課題がある。 (3つの課題について) まず課題だったのはストレートが高めに浮く傾向にあり、それを痛打される傾向にあったこと。そして四死球が多く、三振は多く取っても、四球で走者を溜めたところで、大量失点する傾向があったこと。そしてプレーが軽く、雑なプレーが散見されることあったことだ。 一つ目の課題として、ストレートが高めに浮く傾向にあったが、まだ高めへ浮くことはあるものの、去年と比べると低めに集まってきた。最速147キロを計測したが、元からストレートに力がある投手であるので、あとはそのストレートを低めに集める能力があるかである。 次に四死球についてはまだ簡単にストレートの四球を与えることはあるもののの、最小限にとどめて投球ができているようになっている。昨秋のような、大量失点を喫することはなくなってきた。 3つ目の課題としてはプレーの軽さ。上記2つの課題よりもあまり重要視していないのか、投手としても、野手としてプレーしていても目に付くところがある。致命的なミスになっていないけどもったいないと思うプレーがある。 彼が気分に乗っている時はプロ並みの高い集中力でプレーしている。
href="https://www.hb-nippon.com/tag-link?title=日本文理&type=sp_team">日本文理との招待試合で飯塚 悟史に対し、常時140キロ後半・最速150キロを計測し、三者三振を奪った投球を見せたようだが、ギアが入ったときの小野は誰もが絶賛したくなるような凄みのあるストレートを投げる。ただあまりスイッチが入っていないなと感じる様子がたまに見られ、そういう時は必然と細かなミスが多い。出来るはずなのに、準備不足で、実力を発揮できないのがこの選手の課題で、高校の時点で直るか分からないが、小野を獲得する球団は、そのセルフコントロールの指導をしなければならないだろう。それを矯正できる、出来ない球団で彼の成績はだいぶ変わってくると考えられる。 (投球内容) 真上から振り下ろすストレートは常時130キロ後半~140キロ中盤。秀学館戦では常時140キロ中盤・最速147キロ。スピード表示のマックスは昨年の時点から計測していたもので、今後のスピードアップはプロ、大学、社会人で専門的なトレーニングをして、150キロ越えが期待できるのではないだろうか。 変化球は125キロ前後のスライダー、100キロ台のカーブ、125キロ前後のフォークを織り交ぜる。基本的にストレート主体の投球で、カーブ、スライダーはカウント稼ぎに使いながら、追い込んでから高めのストレート、低めにフォークを使い、高低と緩急をうまく使える投手で、コンビネーションがうまく出来たときは面白いように三振が取れる投手。
だがストレートは全体的に高めに浮く傾向にあり、スピードと勢いに頼るところがあり、スピードがあるときは彼ほどの高めストレートをしっかりと打ち返せる打者はなかなかいないので、空振りを奪うことができている。だがややスピードが落ちた140キロ前後のストレートはしっかりと捉えられている。 クイックは1.2秒前後と標準のタイム。フィールディングの動きも悪くないが、一つ一つの動作が軽く感じる。軽いプレーというのはここ一番で大きなミスが出たときに取り返しがつかない。だからこそ丁寧にプレーしてほしい。 (投球フォーム) 躍動感のあるオーバーハンドだったが、昨年よりも前足の送り込みが甘くなったのが気になったところがある。下半身の粘りが欠き、上半身主導の色合いが濃くなったフォームだ。 ノーワインドアップから始動する。左足をゆったりと引き上げ、右足の膝をまっすぐ立たせる。軸足にしっかりと体重が乗り、バランス良く立つことができているので、その後の体重移動もバランス良く移行する形ができている。
上半身を傾斜させながら、左足を二塁方向へ送り込んでいきながら、お尻を落としていき、左足は三塁方向に向きながら着地しているが、以前よりも反動を小さくすることを意識したのか、歩幅が狭くなった。それによりうまく左足に体重が乗らず、突っ込んだようなフォームになり、そこでボールが高めへ抜けるなと予測できる。 テークバックを見ると背中側まで入るようなテークバック。やや肘が下がって、故障への不安が気になるが、ここまで大きな怪我はなく、またリーチを大きく描いて、鋭く振るのが彼のリズムになっているので、簡単には矯正できないと考えられる。 昨年、絶賛した抜群の腕の振りの速さ、打者寄りでしっかりと押し込めるリリースポイントの良さは相変わらず惚れ惚れするもので、始動から腕の振りに入るまでのリズムが心地よい。しっかりと腕を絡ませて、フィニッシュを終えることができており、ロスのない体重移動ができている。彼は如何に自分のリズム、自分のメカニズムでボールを投げられるか。準備不足の時はそれが全くできておらず、粘りがない投球フォームになっているので、気を付けてもらいたい。
更新日時: 2014.05.28