試合レポート

桐蔭学園vs東海大相模

2013.05.04

桐蔭学園vs東海大相模 | 高校野球ドットコム 

斎藤(桐蔭学園)

桐蔭学園が投打ともに東海大相模を圧倒!14年ぶりの決勝進出!

 ついに神奈川大会も準決勝を迎えた。
第1試合は東海大相模桐蔭学園の名門対決、そして第2試合は注目左腕・松井 裕樹桐光学園)の登場もあり、春季大会にも関わらず[stadium]保土ヶ谷・神奈川新聞スタジアム[/stadium]は超満員。試合前には内野スタンドも埋まり、外野席開放となる盛況ぶりだった。

桐蔭学園の先発は斎藤 大将東海大相模の先発は小田桐 丞
お互い2回終わって無失点だったが、内容はどちらが悪いかといえば、小田桐だった。小田桐はキレのあるカーブ、スライダーを売りとする左腕。今日の小田桐は変化球に頼りすぎた投球内容であった。なぜ頼りすぎるかというとストレートのコントロールが定まらなかったからだ。

投球の根本はやはりしっかりとしたストレートをコントロール良く投げられてから始まるもの。良い投手はストレートが良いからこそ、変化球も活きるわけであり、変化球しか勝負出来ないとどうなるかというと、簡単に見切られる。小田桐の武器である変化球に桐蔭学園は完全に見切っていた。

 

変化球の制球も定まらず、3回に捉えられる。
3回表、桐蔭学園は先頭の8番高橋が四球で出塁、9番星が犠打で1死二塁、1番窪田が四球、2番町田は四球で満塁となり、3番清水は右前適時打で1点を先制。さらに4番増田が左犠飛で1点を追加。5番伊勢が歩いて満塁となり、ここで小田桐は交代。二番手に仲宗根 大都が登板したが、6番斎藤に高めに入った直球を捉えられ、左中間を破る二塁打となり、5対0と大きく勝ち越す。

今日の斎藤から5点はかなり大きな援護点だった。今日の斎藤も非常に安定をしていた。左腕から投げ込むキレのある直球にスライダー、カーブ、チェンジアップを織り交ぜ東海大相模打線を翻弄。9回1失点完投勝利で、14年ぶりの決勝進出を果たし、関東大会出場を掴んだ。


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シートノックの桐蔭学園

桐蔭学園は3回表に5得点を取ったことに尽きる。取れる時に取る。それが自分たちにとって精神的に有利な立場で試合を行う事ができる。攻守ともに活気さが見られ、選手の能力を遺憾なく発揮出来たのではないだろうか。特にエースの斎藤は1点差、2点差よりも点差があるので、どこか投球に余裕があった。余裕があるということはいろいろなことを試される思考があるということ。今日の斎藤は準々決勝よりも攻めの幅を広げた投球を見せていた。

特に今日は右打者の攻め方に特徴があった。
今までの斎藤は右打者の内角にクロスファイヤー、外にチェンジアップが中心だったが、この日は右打者のボールゾーンからストライクゾーンに切れ込むスライダーを投げ込んでいた。メジャーでいうとバックドアといわれるが、打者が外と狙い撃ちしたところから曲がるので、芯をずらすには絶好の球種。今日はそれを試しているように見えた。そして左打者には絶対的な自信を持っており、16打数1安打8奪三振とほぼ完璧に封じこんだ。最終回に6番番佐藤の適時打以外はほぼ完璧に押さえ込んでいた。

そして内野手、外野手の守備も安定。内野手はボールに対する待ち方が良く、捕りやすいバウンドで取り、際どいゴロに対しても、慌てることなくボールを処理し、アウトにする球際の強さも披露。外野手は前後の動きが安定しており、不安がない。捕手の伊勢も強肩で、安定したスローイングを見せる。桐蔭学園のディフェンス力は神奈川県トップクラスであることを証明した。


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仲宗根(東海大相模)

 一方、思わぬ大差で負けた東海大相模だが、夏も楽しみなチームであることは間違いない。
今年のチームは1番遠藤 裕也など楽しみな打者がいるが、今年は投手力で勝負するチームと思っている。

準々決勝の湘南戦で衝撃デビューを飾った1年生左腕・小笠原 慎之介
3回表途中から7回二死まで登板した背番号1の右腕の仲宗根 大都は打者の手元でカット、ツーシーム、チェンジアップを投げる技巧派右腕。7回に3番清水に適時打を打たれたが、夏には貴重な戦力であることは間違いない。

7回二死から8回までは、準々決勝の湘南戦で好投した青島 凌也が、そして9回には背番号21の佐藤 雄偉知(2年)が登板。189センチから振り下ろす角度と威力を兼ね備えたストレートとフォークは一級品。荒削りで、1失点を喫したが、化ければ青島を超えるスケール感溢れる豪腕になることは間違いない。

3回途中で降板した小田桐はハマった時の切れ味鋭い投球は絶品。その変化球を活かすためにストレートを徹底的に磨き、夏でリベンジを果たして欲しいと思っている。

関東大会は逃したが、この敗戦の雪辱を果たすべく東海大相模は夏まで熾烈なレギュラー争いが始まることだろう。夏には投打ともにパワフルな東海大相模を見せて欲しい。

(文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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