試合レポート

敬徳vs多久

2011.09.27

敬徳vs多久 | 高校野球ドットコム

川原(敬徳)

新チームに勃発する背番号1の争い

粘り強い投球で勝利を引き寄せた。7回まで被安打4、四死球3で無失点。敬徳の背番号1川原が力強いストレートとカーブ、スライダーを丁寧に投げ多久打線に的を絞らせなかった。
「川原は良い時に比べたら60点くらい。球があまり走らずコースも高かった。だが良く粘って投げた」と鷹巣聡監督。

6回を除き毎回走者を背負う苦しいピッチング。だが、1回2死から四球で出した走者を素早い牽制で刺すなど「テーマをもって自主的に練習でとりくんでいた。それがうまくだせた」と走者を出しても落ち着いたピッチングを披露。

だが、8回に連打で無死満塁のピンチを招くと味方の失策などで2点を失い同点にされる。なおも続いたピンチでは、気迫のストレートで三振に打ち取り逆転は許さない。同点にはされたものの粘りのピッチングで切り抜け、相手に主導権を渡さなかった。

「牽制など取り組んでいたことを出せるようになっている」という鷹巣監督も成長していると認める背番号1の川原。だが、「エースは大川内」とういように、本来背番号1は、この日ライトを守り、9回に登板した背番号9の大川内である。故障開けということもあり、今大会ではこの川原が主戦を努める。
暫定の背番号1ともいえる川原。だが、この日同点に追いつかれたものの、強気に攻めで再三のピンチの場面を粘り強く投げきった。07年夏の大会、10年春季、秋季大会といずれも準々決勝で敗退。準々決勝の壁を超えれない。悲願の甲子園出場へ、この準々決勝の壁を乗り越えるため、監督の背番号1へ求められるハードルは高い。

「エースは大川内」とし、この日の気迫のピッチングをみせた川原へは厳しい言葉を投げかける鷹巣監督。だが、そのエースが故障明けで万全といえないなか、その言葉は、背番号1を託す川原への期待の現れのように聞こえた。
暫定の背番号1。その暫定をとる投手に。
その要求に応えた快投を次回、見せることができるか。この秋、新チームになり甲子園につながる初めての大会。そこには、甲子園とともに背番号1をかけた争いがある。

一方、多久野口監督は「満塁で二点しか取れなかったのが痛かった」とチャンスの場面での攻撃を悔いた。
 0−2で迎えた多久の8回の攻撃。この回、先頭の9番大崎がこの日、2本目となるヒットをレフト前に運ぶ。続く1番岸川のショート前に転がる当たりを敬徳ショート池田が失策。無死一、二塁のチャンスに、2番入江は初球バントの構えから見送りストライク。これには多久野口監督の大きな声が飛んだ。するとバントの構えから一転、打ちにいくと打球はセンター前に転がりチャンスを広げた。ここで3番宝蔵寺はサードゴロでホーム、一塁と転送されダブルプレー。チャンスはついえたかにみえた。ここで、野口監督は4番深町にかえ一年生の桃崎を代打に送る。その桃崎が相手失策を誘い土壇場で同点に追いつく粘りをみせた。だが、後続を断たれ同点でおわると、その裏に決勝点を奪われた。
「細かいところで云えば、同点に追いついた場面の失策後の走塁など次がつながっていない。結局同点までの力しかないということ」。と悔しさをにじませながら敗因を語った。

(文=藤吉ミチオ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【秋田】明桜がサヨナラ、鹿角は逆転勝ちで8強進出、夏のシードを獲得<春季大会>

2024.05.18

【岩手】一関二、盛岡誠桜などが初戦を突破<春季大会>

2024.05.18

【関東】昌平・山根が2発5打点、東海大相模・4番金本が2ランなどで初戦を快勝、東海大菅生は山梨学院を完封<春季地区大会>

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.18

【春季関東大会】白鷗大足利・昆野が最速152キロを計測!前橋商の剛腕・清水はまさかの5失点…。チームもコールド負け!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.17

「野球部や高校部活動で、”民主主義”を実践するには?」――教育者・工藤勇一さん【『新しい高校野球のかたち』を考えるvol.5】

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?