投げては大谷翔平以来の160キロ・21奪三振、打っては決勝弾 大船渡・佐々木朗希に感じるロマン
投げては大谷翔平以来の160キロ・21奪三振、打っては決勝弾
大船渡・佐々木朗希
21日、大船渡対盛岡四の岩手大会4回戦は、まさに大熱戦と言うにふさわしいものだった。延長12回に及ぶ戦いを制したのは、佐々木朗希擁する大船渡だ。
もはや形容する言葉が見つからない。
初回から150キロ台の速球を連発した佐々木は、6回まで毎回の8奪三振。3回戦の一戸戦で6回13奪三振だったことを考えると、やや物足りないとすら思えてしまう数字だが、この試合で佐々木がすごかったのは、チェンジ・オブ・ペースだった。
今春岩手大会準優勝の盛岡四打線は、佐々木の150キロを超える速球にも振り遅れることなく、序盤は多くのチャンスを作った。外角のきわどい球もしっかりと見極め、甘い球を叩く打撃を実践できていた。しかし2回、3回と続けて二人のランナーを出すも、あと一本が出ない。
この日の佐々木のストレートは常時140キロ後半、力を入れると150キロ台、ボールが先行すると140キロ前半の球をコースに決めるなど、投げ分けができていた。この少し抜いた球を適度に投げることで、要所で150キロ越えの球を投げるスタミナを残すことができていたのだろう。8回に記録した160キロも、100球を越えてから計測したものであり、余力十分という風にも見えた。
中盤はやや変化球の割合を増やすなどして、ストレート対策をしてきたとみられる相手に的を絞らせず、打たせて取る投球を展開。そして、7回からギアを挙げ、8回には三者三振。打たれこそしたものの、9回にも159キロを計測するなど、試合終盤へ向けてギアを上げてきたことがわかる。
10回以降はさらに奪三振のペースを上げる。9回までの14奪三振に対し、10回から12回の3イニングで7奪三振。さすがに終盤は引っ掛ける球や、投げ終わりに身体が流れるシーンもあったが、それでも194球を投げ、最後まで150キロ台を投げ続けるスタミナは驚異的だ。
12回表に自ら放った勝ち越し弾も、まさに弾丸ライナーと言えるような当たりを、逆方向に放り込んでしまうのである。打撃は粗さが目立つが、それがまた我々のロマンをかき立てる。
投げては最速160キロ・21奪三振、打っては勝負所でのホームラン。しかもこれからまだまだ進化を見せてくれそうな予感もする。そんな大器を、これからいったいどう形容していけば良いのか。嬉しい悲鳴である。
21日には星稜の奥川恭伸も158キロを計測しており、同年代にここまでの投手が二人(もしくはそれ以上)もいることに驚きを禁じ得ない。この令和の新時代に、高校野球を楽しめる幸せをかみしめ、ここからの大会を見守りたい。
文・林龍也
■大会日程・応援メッセージ
第101回 全国高等学校野球選手権 岩手大会
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