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中京大中京に追随するチームは?愛知県高校野球の2021年を占う

2021.01.04

 秋季愛知県大会では、2年連続で中京大中京が優勝を果たした。また、東海地区大会も2年連続で制して来春のセンバツ出場をほぼ確実にしている。

 そんな中京大中京が中心になっていくであろうと思われる、2021年の愛知県高校野球を占ってみた。

切磋琢磨しながら、質を高めあう愛知の高校野球

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中京大中京

 昨秋は大会前からの評判も高く圧倒的な強さを示した中京大中京。しかし、今秋のチームは、名古屋地区二次トーナメントの1回戦で星城に敗れたように、必ずしも抜けた力を持っていたというワケではなかった。

 高橋 源一郎監督も、「前の代が(公式戦無敗など)いいものを残してくれました。それを引き継いだ選手たちが、自分たちに出来ることは何かということを見出しながら戦って行って、力をつけていったと思う」と、見ている。

 旧チームとは異なるスタイルの「繋いでいく野球」を徹底して、東海大会決勝では序盤に6点失いながらも中盤終盤に追いつきサヨナラ勝ちという勝負強さも示した。

 エース畔柳亨丞君は最速151キロを表示する快速派。東海大会準決勝の三重との試合では1安打完封とベストピッチを披露した。さらには左腕の柴田 青君の成長も大きく、東海大会準々決勝では海星に完封勝ち。大いに自信を得ている。

 打線も杉浦 文哉君、桑垣 秀野君、辻 一汰君、原 尚輝君らは勝負強い。加藤 優翔君と西川 鷹晴君の正捕手争いも見ものだ。お互い競い合いながら、春へ向けてさらに質を上げていっている。

 この中京大中京に県大会準決勝で対戦して前半リードするなどして抵抗を示したのが至学館だった。例によって、左右さまざまなタイプの投手が複数いて相手の目先を交わしていく。

 3番秋山 翔太郎君、4番山岡 聖弥君らはパンチ力もあるが、出場する選手がそれぞれ自分の役割を認識していく野球は徹底している。麻王 義之監督の言う「相手を見ての対応型野球」はすっかり浸透している。東海大会準々決勝の三重との試合では登録18人全員を起用している。

 文字通りの全員野球で「何か仕掛けてくるのではないか」と相手を迷わせていく戦いぶりは21年もさらに磨きがかかっていくことであろう。

 県大会準優勝の東邦も東海大会でも加藤学園に勝利したが、今春就任した山田 祐輔監督にとっても初の東海大会で自信を得た。選手個々のポテンシャルは高く、1番投手としての起用もある三浦 心空君、一発もある鈴木 唯斗君の打線を軸とした打線の破壊力もある。

 県大会準決勝では中部大春日丘に最大6点リードされながらもひっくり返した。エースの知崎 滉平君も安定しており、県大会~東海大会を通じて大きく成長していった。また、11月に行われた1年生大会を制したことで、チームの底上げもされていると言っていいであろう。

 この秋、ベスト4の中部大春日丘もこのところ安定した実績を上げてきている。準決勝の東邦戦では一挙5点を奪ったように打線の爆発力はある。榊原 秀君、水野 航太朗君、篠原 旭君の投手陣が成長していけば、来春以降はさらに楽しみだ。1年生大会で中京大中京を下したことも自信となっていくであろう。

[page_break:「ストップ・ザ・中京大中京」を目指し凌ぎを削るチームたち]

「ストップ・ザ・中京大中京」を目指し凌ぎを削るチームたち

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享栄・彦坂藍斗君

 選手の個々の能力の高さということで言えば享栄が一番とも言えようか。中京大中京で全国制覇も果たした実績のある大藤 敏行監督がライバル校に異動して3年。大藤監督を慕って集まってきた選手たちの意識も高い。

 濱田 慶太君、竹山 日向君、菊田 翔友君らの投手陣は軒並み140キロ超をマークする力がある。ただ、秋季県大会では気負い過ぎもあってか、いくらか空回りしていたところもあったかもしれない。メンタル面を含めてこの冬に成長を果たしていけば、「ストップ・ザ・中京大中京」の一番手となっていく可能性は十分だ。打線も、経験豊富で勝負強い彦坂 藍斗君を中心としていて爆発力もある。

 21世紀枠の県推薦校に選出された国府も左腕足立 進悟君と加藤 駿介君のバッテリーの評価が高い。県大会では3回戦で享栄に敗れたものの、その後の全三河大会では豊田大谷、県大会ベスト8の成章を下してベスト4。3位決定戦でも桜丘に勝って力のあるところを示した。

 同じ三河勢としては公立では仁枝 瑞貴君と白井 雄登君のバッテリーの成章が躍進してベスト8まで進出している。成章は、河合 邦宗監督としても今季のチームに関しては、「近年の中ではチームとしてもまとまっており、ある程度はやれるのではないか」という感触は得ているようだ。

 昨夏に悲願の初出場を果たしたは、夏季大会は4回戦で愛知黎明に敗れたものの秋季大会は昨夏の決勝カードの再現となった桜丘との対決を制するなどしてベスト8に進出している。その桜丘は東三河地区予選で豊川を下して1位通過して期待されていた。

 ただ、全三河大会でも3位決定戦で国府に敗れたように、やや不安定なところもある。杉澤 哲監督も、「守りでミスが出ると、そこから崩れていってしまう」と反省していた。この冬の課題としては守りの精度を上げていくことだろう。

 東三河の雄でもある豊川は県大会の初戦で東邦に敗れたが、やはり三河勢では最も力がある。田﨑 皐暉君は1年生ながら馬力がある投球だ。リードする門田 実君の捕ってからの送球の速さなども光っていた。

 全三河大会で豊川と決勝を争い1点差で敗れた愛産大三河は県大会でも愛工大名電に快勝するなど力はある。左腕石原 和馬君も切れのいい投球で安定感は十分だ。愛工大名電田村 俊介君と寺嶋 大希君の2枚看板が注目されている。選手のポテンシャルは高いだろう。

 他には、名古屋地区3位で県大会に進出し1年生大会でも準優勝の星城や県大会で享栄と打撃戦を展開した愛知、夏季大会準優勝だった愛産大工なども期待したい。

 東邦に大善戦した日本福祉大附や知多地区1位の大府、愛知と競り合った半田、全尾張大会で3位に食い込んだ半田東、県大会初戦突破の半田工、秋の反省を生かして立て直したい東浦知多翔洋などの知多勢にも期待は集まる。

 公立勢が競い合っている西三河地区では、夏のベスト4の岡崎工では小林 悠真捕手が注目されている。毎年好チームを作り上げる西尾東安城。さらには西尾岩津豊野安城東岡崎商など熱心な指導者たちがこの冬も様々な工夫をしながら練習を積み重ね、来春を目指している。

 どんなチームに仕上げてくるのか大いに楽しみだ。

(記事:手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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