Column

関東一野球の象徴だった渡邉貴斗主将 将来は体育教員を目指す

2020.08.12

関東一野球の象徴だった渡邉貴斗主将 将来は体育教員を目指す | 高校野球ドットコム
関東一を率いた渡邊貴斗

 帝京と熱戦を演じた関東一。2年連続夏の王者にあとアウト1つから追いつかれ、サヨナラと悔しい結果に終わった。閉会式では悔し涙を流す選手が多かったが、その中には1年間主将として牽引した渡邊貴斗もいた。

 高校2年秋まで内野手だったが、チーム事情から秋から正捕手に。いろいろなポジションを守れるのが強みだが、最も自信があるポジションが「捕手」だという渡邉。

 その言葉通り、スナップを利かせた強肩を活かして、セカンドスロー1.9秒前後をマーク。さらに柔らかいキャッチングで今村拓哉領家佑馬、さらに下級生・市川祐ら強力投手陣を盛り立てた。指揮官の米澤貴光監督は「渡邊は秋の大会2週間前に作った急造のキャッチャーでした。ですので秋はぶっつけの部分もありましたが、冬場を通じて成長してくれたのが大きかったです」と1年間の渡邊の成長を称えた。

 そんな渡邊は「1、2年生の時はチームの中心でプレーはできませんでしたが、主将になってから変わったといいますか、周りに変えてもらえました」と主将としての1年間を振り返った。

 取手シニア時代は常総学院菊地竜雅中央学院加藤公翔らとともにプレー。主将としてチームをまとめていた。その経験を活かして関東一でも主将就任時にチームをまとめようとした。しかし、「同じようにやっても巧くできませんでした。ですので、最初は全然ダメといいますか、今振り返れば、すぐにでも変わった方がいいような主将だったと思います」と語る。

 それでも渡邊なりにチームをまとめ、冬場を過ぎる辺りにはチームメイトへ積極的に声をかけられるようになった。また「主将をする前はプレーでも上手くいかないことがありましたが、周りから信頼をされるようになっていいプレーが増えました」と自信を持てるようになったことで、プレーの質も変わってきた。

 昨年の先輩たちの甲子園で戦う姿を見て、「自分もやりたい」と思い、1年間戦い抜いた。しかし目標としてきた甲子園は中止になった。それでも「自宅で中止を聞きましたが、独自大会の開催を聞いてからすぐに切り替えてLINEでも周りに声をかけました」と独自大会制覇に向けて練習を取り組んだ。

 しかし、秋と同じく帝京の壁の前に頂点には届かなかった。だが「選抜に行くつもりでしたので秋の敗戦は悔しかったですが、秋負けたから決勝に行けたともいます」とコメントしている。今回の敗戦も渡邊のこれからの人生に活かされるはずだ。

 将来は体育の教員になりたい渡邊。「中学生の時にお世話になった体育の先生がとても良い先生で、一時はプロ野球選手になりたい思いはあったんですけど、自分の実力では厳しいかなと感じていました。将来は教員免許の取れるところに進んで、そこで野球を続けられれば」と今後について語った。今大会の経験が渡邊主将のこれからに繋がってくれることを願うばかりだ。

(記事=河嶋 宗一

関連記事
「今だからこそ両親に感謝しなさい」 帝京の前田三夫監督が3年生たちへメッセージ
9年ぶりの甲子園を狙う帝京。復活の予兆を見せた裏側に迫る
3年生に託した9回の攻防 臼井の執念のサヨナラ打で東海大菅生 東京の頂点に立つ!

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.01

【神奈川】関東大会の切符を得る2校は?向上は10年ぶり、武相は40年ぶりの出場狙う!横浜は6年ぶり、東海大相模は3年ぶりと意外にも遠ざかっていた春決勝へ!

2024.05.01

春季大会で頭角を現した全国スーパー1年生一覧! 慶應をねじ伏せた横浜の本格派右腕、花巻東の4番、明徳義塾の正捕手ら入学1ヶ月の超逸材たち!

2024.05.01

【兵庫】報徳学園、須磨翔風などが順当に夏の第1シード獲得!昨秋ベスト4の長田、滝川二はノーシードに

2024.05.01

【春季埼玉県大会】プロ注目石塚、大会1号!優勝候補筆頭・花咲徳栄が15安打で東農大三に勝利!

2024.05.01

【福島】聖光学院と福島商が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.28

【広島】広陵、崇徳、尾道、山陽などが8強入りし夏のシード獲得、広島商は夏ノーシード<春季県大会>

2024.04.28

【鳥取】鳥取城北が大差でリベンジして春3連覇<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける