Column

ミレニアム世代のトッププロスペクトたち Vol.10「吉田輝星、矢澤 宏太」

2018.07.09

 ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。紹介する選手のグレードはここからだんだん高まっていく。今回紹介するのは、この春になって評価急上昇の速球投手である。

吉田輝星(金足農)投手 桑田二世と表現できる完成度を持った北の怪腕

ミレニアム世代のトッププロスペクトたち Vol.10「吉田輝星、矢澤 宏太」 | 高校野球ドットコム
吉田輝星

 よく、175センチほどで、フォームが良く、フィールディングも良く、ストレートの切れ、コントロール、変化球の精度を兼ね備えた右投手のことを「桑田二世」と表現することが多い。金足農の吉田はまさにそんな投手だ。

 175センチ82キロと投手としてそれほど上背はない。だがピッチングを見ればそれを忘れさせるようなものを見せる。

 ノーワインドアップから始動し、ゆったりと左足を上げていきながら、その後、ゆっくりとホームベースに向かって着地を行い、内回りのテークバックからトップに入り、リリース。一連の動作が実に無駄がなく、スムーズ。まるでお手本のような投手である。ストレートはこの春に最速147キロを計測。球持ちが良く、回転数が高いストレートは球速表示以上のものを感じさせ、キレのある変化球が決まると、攻略が難しい投手だ。

 1年夏からベンチ入りし、2年夏にはエースとして決勝に導いたが、惜しくも敗退。あと一歩で甲子園を逃したことが成長の原動力となった。春は決勝戦で圧倒的な大差で由利工を破り、県大会優勝。東北大会でも専大北上戦で最速146キロを武器に1失点完投勝利。大きく評価を上げた。

 さらに帝京との招待試合に先発した吉田は5回1失点8奪三振と素晴らしいピッチングを見せ、評価はさうなぎ上り。

 侍ジャパンU-18代表の一次候補に選出され、ますます注目度が上がった吉田。充実の春の経験を夏に生かし、あと一歩で届かなかった聖地へ到達する。

[page_break:矢澤 宏太(藤嶺藤沢)投手 相手の奇襲に動じない圧倒的なピッチングを]

矢澤 宏太(藤嶺藤沢)投手 相手の奇襲に動じない圧倒的なピッチングを

ミレニアム世代のトッププロスペクトたち Vol.10「吉田輝星、矢澤 宏太」 | 高校野球ドットコム
矢澤宏太

 今年の3年生左腕では最も速く、本格派というカテゴリーではナンバーワンのポテンシャルを持っている投手は誰かといえば藤嶺藤沢矢澤宏太ではないだろうか。グラウンドに立てば投手というよりも野球選手として惹かれる。一見、細見に見えるが、たくましい下半身、バネのように全身を使える、躍動感ある走りから分かる身体能力の高さ。それを生かし投げ込む速球の最速は148キロ。打っても高校通算30本塁打に迫っており、打って投げて凄い左腕だ。
 そんな矢澤は高校1年秋から登板機会を増やしていった。2年夏はエースとして臨むも初戦敗退。2年秋は準々決勝まで勝ち進んだが、慶應義塾に敗れた。それから一冬で成長し、ストレートの最速は148キロまで伸ばし、1試合でストレートの最速が145キロ前後を計測することも当たり前のようになってきた。

 今春の活躍を振り返ると、県大会2回戦の慶応藤沢戦で6回参考記録ながらノーヒットノーランを達成。しかしシード入りをかけた日大藤沢戦では8回を投げて12奪三振を記録した一方で、11四死球と本来のコントロールができず、2失点にとどめたが、チームを勝たせる投球はできなかった。

 この春は慶応藤沢戦の投球自体は速球の威力も本物で、低めに落ちるスライダーは思わず空振りしてしまうすごみがある。好調時は制球力が安定している。ただ自分のペースに乗れないと、制球を乱し本来のピッチングができないのが課題だ。

 この夏は執拗なマークを乗り越えワンランクレベルアップしたピッチングを見せることができるか?南神奈川で優勝候補に挙がるのは、夏3連覇がかかった横浜。その横浜打線を封じるほどのストレートの威力、変化球の精度は備わっているだけに、一味違ったピッチングを見せることを期待したい。

文=河嶋宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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