第93回全国高校野球選手権愛媛大会展望
第93回全国高校野球選手権愛媛大会展望2011年07月15日
6月18日に開幕した沖縄大会を皮切りに各地で球音が響く「第93回全国高等学校野球選手権・地方大会」。四国4県でも7月9日開幕の徳島大会をスタートに、11日開幕の香川大会、14日開幕の愛媛大会、そして16日開幕の高知大会の計4大会において160試合の熱戦が繰り広げられることになっている。
そこで、「高校野球情報.com」では今回4県ごとの直前展望を紹介。このサイトでしか見られないマル秘チーム、選手情報も交えつつ、組み合わせ抽選によってはっきり見えてきた勢力図を提示していきたい。
【バックナンバー】
第93回全国高校野球選手権愛媛大会展望
第93回全国高校野球選手権香川大会展望
第93回全国高校野球選手権徳島大会展望
第93回全国高校野球選手権高知大会展望(近日公開予定)
香川県 成績データ
香川県
参加59校 7月14日(木)~7月28日(木)
[stadium]坊ちゃんスタジアム[/stadium]、[stadium]今治市営球場[/stadium]、[stadium]宇和島市営丸山球場[/stadium]、[stadium]西条市ひうち球場[/stadium]
成績データ
<昨年大会優勝校>
宇和島東(11年ぶり8度目)甲子園1回戦敗退
<センバツ出場校>
なし
<昨夏新人地区大会優勝校>
東予:今治西
中予:新田
南予:川之石
<昨秋県大会>
優勝:新田(21年ぶり4回目)
準優勝:今治西
3位:松山商業
<昨秋四国大会成績>
新田(4年ぶり7度目):準決勝敗退 *センバツ補欠校
今治西(5年連続25度目):2回戦敗退
松山商業(15年ぶり16度目):1回戦敗退
<昨夏1年生地区大会優勝校>
東予:今治西
中予:松山商業
南予:帝京第五
<今春県大会>
優勝:川之江(初優勝)
準優勝:三島
ベスト4:八幡浜、帝京第五
<今春四国大会成績>
川之江(初出場):準決勝敗退
三島(29年ぶり2度目):準決勝敗退
ブロック別展望
“投打のバランスは県内トップクラス”
一方の打線における代表格はやはり4番・主将としてチームを牽引する細川智裕(3年)であろう。
冬場から春先にかけて取り組んできた下半身をスイングと連動させる新打法がようやくフィットしてきたことで、強烈な打球を生み出すことに成功した細川。一時は止まっていた本塁打数も7月初旬の練習試合4試合7本塁打により「55」と、中内大登(香川・英明3年)を抜き、「四国No1スラッガー」にふさわしい風格も身に着けた。
また、1番・髙橋からはじまり、3番・金澤泰祐、好調を買われ5番抜擢が濃厚な重松裕介、6番・中川、そしてショートストップとして守備の要ともなる9番・眞木大輔など全員3年生で固めた打線はいずれも好調を維持。好調ゆえの油断さえなければ、混戦といわれる今大会においてもベスト4以上進出は濃厚。「淡々と戦っていきます」ラスト采配へ静かに燃える秋山和輝監督の下、悲願の夏甲子園初出場へ彼らは一直線に突き進んでいく。
ただし、春季大会を終えて投手に復帰した長身左腕・西川和樹(3年)率いる松山聖陵や、エースナンバーを2年生右腕・小川慶也に譲り、自らは4番・一塁手として最後の夏にかける高校通算37本塁打の本藤光貴(3年)が注目の一昨年代表・西条は新田にとっても侮りがたい存在である。
さらに春の練習試合では川之江・大西翼(3年)を打ち崩した宇和島南では、「30回以上走って一度も失敗したことがない」韋駄天が魅力の兵頭治希(3年)がチームの核弾頭。また、全力疾走をベースにセンターの織田拓也など有望な2年生も多数そろう今治工業なども、新田の牙城を崩すべく爪を研いでいる。
ブロック別展望
“きらりと光る逸材が点在”
1つ帝京第五を例にとっても初戦はいきなり北条と八幡浜の勝者と激突。松山商時代に全国制覇経験を有する澤田勝彦監督が率いる北条と、140キロ台の直球とスライダー、さらにセット時も全く落ちない球威を有する菊池大樹、春季県大会3本塁打の岡崎豊幸が3年生バッテリーを組む春季大会ベスト4の八幡浜。どちらが来ても難しいゲームとなることは間違いない。
また、済美は右腕・谷本憲哉(3年)にエースの自覚が生まれ、総仕上げとなる7月3日の練習試合でも山下新(3年)が強烈なキャプテンシーを発揮し、明徳義塾(高知)を撃破。さらに赤松茂樹(3年)、中川源和(2年)、松下歩(3年)の常時130キロ台をマークする豪華右腕3本柱を軸に連覇を見据える宇和島東も当然、優勝を狙える実力者である。
加えて無名校にもきらりと光る逸材が点在しているのもこのブロックの特徴であろう。ざっと列挙しても、この春に捕手から投手に転じ130キロ台の直球を投ずる中村僚(土居3年)。普段は一塁手、投手としては2番手格ながら最速135キロを計測し、長打力にも見るべきものがある渡邉祥矢(今治北大三島2年)。強肩と相手のスキを見抜くリードに優れる川本優志(松山南2年)辺りが大会でも面白い存在となりそうだ。
ブロック別展望
“四国大会ベスト4の自信を手に初の甲子園を”
が、中学時代からお互いをよく知り、チームワークも抜群の彼らにとってはそれすらも想定内であろう。
春季県大会・四国大会中は単打を連ね、コツコツと得点を重ねる打撃がクローズアップされる場面が多かったが、実は三島本来のストロングポイントは粘り強いディフェンス面である。4番主将の三好智大(3年)などが厳しいマークを受けること確実な夏。まずは奥定宏章、仁野智貴の両3年生右腕を同学年の泰泉寺大地がリード、ショートの髙橋正龍(3年)がサポートする自ら得意の形に持ち込みたい。
一方、5年ぶりのノーシードで夏を迎える今治西は、東海・関西などの強豪校との練習試合を通じて徐々に調子を上げてきた模様。大野康哉監督も「ここまで来てバタバタする必要はない」と、エース・林正也(3年)に1週間ノースロー調整を課すなど、チームの出来に自信を深めている。
本来は1番タイプながら主将として「真ん中でつなぐ意識をもって」4番を張る有友裕哉(3年)、大垣日大(岐阜)との練習試合では左対左を苦にせず葛西侑也からマルチヒットを放った合田亮弥も健在。「飢えた狼」となって最後の夏に臨む彼らが、どんな生き様をグラウンドに残してくれるかにも着目していきたい。
ブロック別展望
“基本コンセプトは「チームとして戦う」”
春季四国大会で見せた超軟投派左腕・石田翔太(2年)から大西翼への黄金リレーも視野に入れ、春同様のチャレンジャー精神で勝負の夏に臨んでいく。
その川之江と初戦でぶつかるのは今治北と松山商業の勝者。サイド―スローから左打者の内角に切れ込む直球とスライダーを持つ武田界斗(今治北3年)対低目への制球力を生命線とする堀田晃(松山商業2年)とが川之江への挑戦権を賭けてぶつかる7月15日・[stadium]今治市営球場[/stadium]での第1試合は、1回戦のみならず今後の愛媛県高校野球の進むべき道を占う上でも重要な一戦となりそうだ。
なお、このブロックは昨夏2年生中心で第1シード・今治西を破った川之石、(遊撃手)徳永一真(遊撃手)、松本晃貴(中堅手)など3年生に素材がそろう南宇和、金桝厚志郎(3年)がエース・主将としてチームを牽引する新居浜西などがダークホース的存在。50メートル走5秒9の池田寛人(3年)を真ん中に、菰田大貴、富士本昇の強肩2年生が左右を固め外野陣が自慢の東温も強豪を脅かす可能性を秘めている。
(文=寺下 友徳 )