準硬式の「三大大会」はなぜオリンピックのように開催地を毎年変更しているのか?<田中裕毅の”準硬ドットコム”第11回>
23年の9ブロックは岡山県での開催となった
11日から開幕した第66回関東地区大学準硬式野球選手権大会。自分たちの実力を確認する腕試しの場となる今大会。ただ優勝すれば、全日本大学準硬式野球選手権大会(以下、全日大会)への道が切り開ける。
準優勝でも全日大会、さらには清瀬杯全日本大学選抜準硬式野球大会(以下、清瀬杯)への出場をかけた予選会への出場権を獲得できる。全国制覇を目指すチームにとっては、目標達成への最短ルートになる。
その全国大会については以前紹介させてもらったが、2024年シーズンはすでに開催地が確定している。
全日大会:九州地区管轄(佐賀県開催)
開催日:8月23日~8月28日
清瀬杯:北海道地区管轄(北海道開催)
開催日:8月31日~9月4日
9ブロック:関東地区管轄(神奈川県開催)
開催日:11月15日~11月17日
※上記は現時点での予定
上記3つの大会はすべて、学校生活に支障がないように夏休みないし土日などを利用して実施。毎年開催地を転々と変えながら全日大会は8月下旬、清瀬杯は9月上旬、選抜チームを編成する9ブロックは11月に行っている。
文武両道を掲げる準硬式だからこそ、開催時期は授業を最大限考慮して行っている。しかし、開催地を転々としているのはどうしてなのか。
連盟関係者の話を聞くと、そこには深い意味があった。
「もちろん、開催地になると出場枠が増えるということで、現役選手は嬉しいんですし、その地域の地元メディアに大会を取り上げてもらうことで、準硬式の熱を高めることができたらと思っています。
あとは地域活性化。全国大会開催となれば20チーム前後が集まります。連盟関係者も含めて人数にすると、1000人近く一気に来るんですよね。それだけの人が宿泊や食事をすれば、少しでも活性化に貢献できると思っています」
日本大学三崎町に在籍していた当時、2度清瀬杯に出場した際はどちらも東海地区だったが、「どこで開催するだろう」とちょっと楽しみがあったのが正直なところだ。それは私のみならず、同級生も先輩、後輩も同じような声があった。
そして大会会場に行けば、仲間たちと食事をしたり、帰り際にはお土産を買ったりと、微々たる形だが、地域に貢献していたことを思い出した。またこれまで何度か全国大会を取材していると、大会運営をしている学生たちは、合間に試合を必ず見ている。そのときには決まって「凄い」とか「エグイ」とかレベルの高いプレーの数々に、驚きの声を漏らしているのを聞いた。
選手時代は気づくことができなかったが、改めて考えると全国各地を転々とするのは、長い目で見て、準硬式にとってはプラスが多いことであり、どこかオリンピックに近いものを感じた。
今年は佐賀、北海道、そして神奈川での開催だが、1試合でも多く熱戦を繰り広げ、準硬式のみならず、地域を盛り上げて欲しい。
取材・文/田中 裕毅(準硬式野球評論家)
小学3年生から中学生までは軟式野球。高校での3年間は硬式野球をプレー。最後の夏は控え捕手でベンチ入りを果たす。
大学から準硬式野球で3年間プレー。大学2年、3年生のとき、チームは清瀬杯大会に出場し、自身はベンチ入り。さらに3年生の1年はチームの主務として、選手登録やリーグ戦運営に携わる。特に春季リーグはリーグ委員長として、試合日程の調整をはじめとした責任者を任される。
<関連記事>
NPB12人輩出! 文武両道・準硬式部員が燃える「2大大会」がアツすぎる!