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日本ハム・細川 凌平はセンスの塊だ! 智辯和歌山時代の驚くべき“裏話” 強烈なプロへの思い、高い思考力、圧巻のスピード!【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.5】

2024.02.04


ノックを受ける細川凌平

皆さん、こんにちは!!
『高校野球ドットコム』の河嶋宗一です。私・河嶋が「これまでグラウンドで見てきた感動シーン」(略して『グラカン』)をみなさまにお届けしています!

今回も過去のセンバツ出場校の取材を振り返り、智辯和歌山出身の細川 凌平内野手を取り上げていきたいと思います。

日本ハムでプレーする細川選手は20年ドラフト4位指名を受け、高卒3年目の昨年は自己最多の60試合に出場。着実にプロ野球選手としての地位を高めています。

細川選手を取材して驚いたのは、練習でみせたスピード、インタビューで感じた意志の強さ、思考力の高さでした。こうした特長が現在の活躍につながっているのではと感じられます。

中学時代から描いていた高卒プロ 取材時で魅せた圧倒的なスピード

まずは高校2年秋までの活躍を振り返ります。京都東山ボーイズ出身の細川選手は主にショートとして活躍し、ボーイズ日本代表に選ばれるほどの選手でありました。多くの学校から注目された中、智辯和歌山に進んだのは中谷仁監督の存在があったそうです。
「自分なりに中学3年生の時から将来のビジョンを描いていたのですが、そのビジョンと、中谷さんが話すビジョンが合致しているところがありました。ここ(智辯和歌山)なら自分のビジョンに近づけるかなと思っていました。自分としては中谷さんの存在は大きかったです」

そのビジョンとは高卒プロ。甲子園出場だけではなく、プロ野球選手になるために、高い志を持って智辯和歌山に入学しました。

1年生からベンチ入りし、1年夏の甲子園では近江戦で途中出場し、甲子園デビュー。1年秋から不動のレギュラーとなります。

2年春、2年夏の甲子園に出場。細川選手は俊足巧打のセンターとして活躍をみせます。甲子園でみていてもセンスの高い選手だと実感しました。

そして最終学年から中学時代のショートへ転向しますが、2年秋の近畿大会では見ることができなかったので、取材では甲子園以来のプレーを見ることになります。

そのプレーは衝撃的でした。とにかくスピードが凄い。
ショートに入った細川選手は誰もが追いつけ無いような打球に対しても追いついて、懸命にグラブを伸ばして捕球します。また一連の動作のスピードが群を抜いていました。
ただ、遊撃の経験が浅いため、荒削りなところがありました。
中谷監督は「普通ならば追いつけないような打球も追いついてしまうほどのスピードがある」と評価するほどのスピードでしたが、守備技術がまだ足りていませんでした。そのことは細川選手も自覚していました。細川選手の1学年上には立教大に進んだ西川 晋太郎選手という名ショートがいて、細川選手は西川選手が大学野球部の練習に合流するまで守備を学んでいました。

「守備についてすべての面で及ばないと思っていますし、その中で西川さんが在学中の時、練習に参加されたとき、いろいろと聞いてきて学んできました。全国レベルで勝つには自分が全国レベルのショートストップにならないと思いますし、日本一のショートストップを目指したいと思っています」

激走する細川凌平

秀逸なバットコントロールを支える思考力とセンス

細川選手のもう一つの武器は秀逸なバットコントロール。2年夏の甲子園では明徳義塾戦の本塁打を含む14打数6安打の活躍。2年秋の近畿大会では7打数4安打の活躍。速球投手、技巧派投手、どの投手にも対応をしていました。なぜいろんな投手にも対応ができるのか。理路整然と、自分の考えを語ってくれました。
「野球は打者主導ではなく、投手主導で始まるスポーツだと思っていますので、相手が投げるボール、軌道に対して、それに合わせて、自分のバッティングをどう表現できるかが大事だと思っています。自分のバッティングをするという表現はありますが、僕の場合、どうしても打者は受け身になるので、投手に対してどう合わせるかというのを大事にしています」
細川選手が最も大事にしていたのが「タイミング」。自分の考えをしっかりと動作として表現できる打撃技術の高さがありました。 そしてインタビューの締めでは高卒プロへのこだわりを語ってくれました。
「高卒プロ入りは夢ではなく、目標なんです。それは小さいときからずっと描いていたビジョンでしたし、それは絶対ぶれてはならないと思いました。そういう思いをもって日々の練習に取り組んできました」

夢ではなく、目標。その先の活躍も描いていた細川選手。その後、新型コロナ感染拡大の影響で甲子園が中止となり、細川選手はセンバツ出場校による交流戦に出場し、最後の夏は甲子園で締めました。20年のドラフトでは4位指名を受けた細川選手は、1年目から一軍の試合に出場。

昨年は60試合出場で、97打数21安打、1本塁打、10打点。投手、捕手以外の7ポジションを守った俊足のユーティリティプレイヤーとして活躍。今季も一軍キャンプメンバーとして帯同しています。

着実に結果を残している細川選手は自分の目標に対して真摯に取り組み、そして走攻守すべてにおいて自分の動きを忠実に表現できるセンスの高さがあります。

新庄剛志監督になってから3年目。一歩ずつ積み上げて、高校時代に魅せたセンスの高さを実感させるプレーを常に発揮することを期待しています。

細川凌平

*『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。
〇関連記事
持ち味は高校生レベルを超えたスピード感あふれるプレー 巧打者・細川凌平(智辯和歌山)が掲げるビジョン

〇過去の連載記事
vol.1:オコエ瑠偉、高校時代のハングリー精神を取り戻せ!
vol.2:当時から高校生離れした守備をしていた土田龍空(中日)!理路整然とした守備理論に感銘
vol.3:レイズ移籍の上沢直之と専大松戸の恩師・持丸監督の絆!名将の一言がMLBの道へつながった!
vol.4:内山壮真(ヤクルト)、高校時代から「野球センスの高さ」「クレバーさ!」は別格だった!

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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