試合レポート

岡崎商高校 vs 豊川工科高校

2023.07.03


豊川工科が終盤突き放して、岡崎商を振り切る

<第105回全国高校野球選手権愛知大会:豊川工科7-3岡崎商>◇2日◇1回戦◇豊橋市民

 前日1日に開幕した愛知大会だが、生憎の雨でほとんどの日程が順延されて、この日にずれ込んだ。ということで、豊橋市民球場も前日予定されていた試合がこの日に行われた。

 西三河地区と東三河地区の公立実業校同士の対決となった試合。今の時代、ことに商業校は男子生徒の確保もなかなかままならないという中で、伝統の商業校として何とか頑張っている岡崎商。伊佐治琢磨監督の熱心な声かけもあって、今年は1年生も9人入ってきている。そうした中で、チームとしてのまとまりも確実に上がっていっている。

 豊川工科も、かつては駅伝の強豪校として名を馳せたこともあるスポーツの実績のある学校だ。山崎安記監督も今年のチームには「元気を出して、試合の入りをよくしていこう」ということを言っているという。

 その、元気のいい明るい入りができて、先取点は初回に豊川工科が挙げた。2死二塁に四球の走者を置いて、4番・丸地 勇人内野手が左翼フェンス直撃の三塁打を放ってかえす。これに対して岡崎商も初回、2回と強い打球を放って複数の走者を出していたが、なかなか本塁へ迎え入れることができなかった。

 しかし3回、2番・夏目 遥丘内野手と3番・辻 隼人捕手が連打。さらに重盗を仕掛けて一旦は成功したがオーバーランでアウト。1死二塁となる。しかし、4番・鈴木 琉翔内野手の二塁打でかえして同点。さらに、2死満塁から8番・小倉 勇太郎外野手の適時打で逆転した。しかし、5安打1四球で2点とは、やや効率が悪かったのは否めない。

 追いかける立場となった豊川工科は4回すぐに、1死から四球を選び2死となったが太田 千誠外野手、鈴木 睦也投手が風の影響もあってややラッキーな二塁打が相次いで2点を返して再び豊川工科がリードした。
 
 7回にも豊川工科は2死走者なしから、9番・石守 朔内野手が内野安打で出ると、すかさず二塁盗塁して、続く加藤 柊希内野手がしぶとく三遊間を破って二塁走者をかえした。その裏、岡崎商も2死走者なしから3連打が出たが、本塁でタッチアウトと得点にならず。このあたりの明暗が、結局最後まで響いたということでもあろう。

 豊川工科は8回にも2死走者なしから、4番・丸地勇が左翼席へ放り込むソロホーマーで突き放す。その裏、岡崎商近藤 駿平内野手と2番・夏目の2本の二塁打で1点を追加したが、9回、豊川工科は犠飛と2番・丸地 隆介外野手の適時打でさらに2点を追加してリードを広げ、9回の守りも安心して守って逃げ切った。

 先制打を放ち、8回には本塁打も放って4番打者としても活躍した丸地勇主将は、「元気よく、野球を楽しんで勝ちに行こうということを言っていましたが、それができて嬉しい」と笑顔を浮かべた。本塁打に関しては、公式戦初めてで「とても気分がよかった」と喜んでいた。

 13安打を放った岡崎商としては、安打数では10本の豊川工科を上回りながら、得点差は4点開かれていたという結果になってしまった。伊佐治監督は、「上位打線には思い切って振っていけという指示で、ある程度は打てるという自信もありました。だから、送らないで打たせて繋がっていたのですが、チャンスになったところで、そのあともう1本が出ませんでした。そこは私の責任ですね」と悔いていた。しかし、「中学の時には、ほとんど試合にも出ていないような選手もいますけれども、皆努力してここまで来てくれた」と選手たちの努力を称えていた。

(記事=手束 仁

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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