Column

プロ注目サイドハンド、東海大相模から転入した逸材が急成長中 タレント集団・東海大星翔は熊本の勢力図を変えられるか

2023.05.10

 春季高校野球熊本大会は、序盤から波乱の展開となった。昨年秋季大会を制した東海大星翔が、秋初戦(2回戦)敗退の有明に、逆転負けを喫して初戦(2回戦)敗退となった。

 結果的に、有明はその後、破竹の快進撃で九州大会優勝まで駆け上がり、冬に力をつけたことを示したが、選手層の厚い九州学院熊本工も大会序盤で姿を消すなど、夏は混沌とした様相を呈している。

 力を見せた秋から一転して、地獄を見せられた東海大星翔。近年は県内の有望選手からも選ばれるようになり、勢力図を塗り替えつつあったが、ここにきて苦汁をなめることになった。

 夏に向けた立て直し策、甲子園出場へのキーマンとは。

2度の得点圏をつぶし逆転負け

プロ注目サイドハンド、東海大相模から転入した逸材が急成長中 タレント集団・東海大星翔は熊本の勢力図を変えられるか | 高校野球ドットコム
主将・川道 樹

 悔いの残る敗戦だった。4回に先制点を挙げた東海大星翔だったが、その後は追加点を奪えずに沈黙し、終盤の8回裏に有明に逆転を許す。そのまま1対2で敗戦し、秋の熊本王者が初戦で姿を消すことになった。

 「単純に打てなかったこともありますが、打てないなりに点の取り方はありました。先制した後も無死二塁の場面が2回あり、そこで1点でも取れていれば展開は変わっていました。春先から、打てないから負けましたは無しにしようとチームで話していた中で、取るべきところで取れずに負けたのは本当に悔しいです」

 敗戦から1ヵ月以上が過ぎたが、主将の川道 樹外野手(3年)の言葉には、いまだに悔しさが滲む。

 昨秋は、九州大会の初戦で惜しくも3対4で長崎海星(長崎)に破れ、センバツ甲子園出場を逃した。春こそは九州大会を制し、夏へ弾みをつけようとオフシーズンを過ごしてきただけに、現実を受け入れるまでに時間がかかった。

 まして、チャンスを潰して相手に流れを渡してしまったのは川道自身。敗退後は、誰よりも自分を律し練習に取り組んでいる。

 「 チームの中心となってやらないといけない立場です。練習試合から打点にこだわり、チャンスでしっかり返す意識をより強く持ちたいと思います」

[page_break:2人のプロ注目選手は明るい材料]

2人のプロ注目選手は明るい材料

プロ注目サイドハンド、東海大相模から転入した逸材が急成長中 タレント集団・東海大星翔は熊本の勢力図を変えられるか | 高校野球ドットコム
注目の百崎 蒼生

 選手たちは目の色を変えて練習に取り組んでいるが、明るい材料もいくつかある。

  エースのプロ注目サイドハンド・玉木 稜真投手(3年)は、冬のトレーニングで制球力がアップし、さらに球速は145キロに到達。春季大会も敗戦投手にこそなったが、投球内容自体は決して悪いものではなかった。

 また昨年、東海大相模から転入した百崎 蒼生内野手(3年)が、ついに公式戦への出場が解禁となる。チームを指導する野仲義高監督は、守備面での成長に手ごたえを感じており、攻守での活躍が期待される。

 「中学時代に見た印象はサードか外野手かなと思っていましたが、転入してきた時の守備を見て驚きました。堅実さやフットワークなど課題もありますが、まだまだ伸びしろのある原石のタイプだと思います。打撃でもポイントがすごく良くなっているんです」

 百崎以外にも、主将の川道、右のスラッガー・新美 元基外野手(3年)と、実力のある打者が並ぶ東海大星翔。総合力は県内でも依然としてトップクラスだけに、夏へのピーキング、実力を出し切るメンタリティーが求められる。

 川道は、夏への強い思いを語る。

 「これから百崎も入ってきて、雰囲気も大きく変わると思います。有明さんは九州大会で優勝しましたが、大きな差があるとは思っていません。夏はどこが相手でも、自分たちの野球がしっかりできれば勝てると思うので、それぞれが役割を果たせるチームに仕上げたいです」

 展開の読めない今年の熊本の夏。東海大星翔の真価が問われる。

(取材=栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.16

涙の甲子園デビューから大きくレベルアップ!前橋商の192センチの剛腕・清水大暉は、高速スプリットで群馬県大会19回1失点、22奪三振の快投!<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.05.16

【2024年春季地区大会最新状況】全道大会は出場校決定、関東と東海は18日に開幕

2024.05.16

U-18代表候補・西尾海純(長崎日大)、甲子園で活躍する幼馴染にむき出しのライバル心「髙尾響には負けたくない」

2024.05.16

【秋田】夏のシードをかけた3回戦がスタート、16日は大館鳳鳴などが挑む<春季大会>

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?