試合レポート

専大松戸vs常葉大菊川

2023.03.22

150キロではなく、「切れ」と「制球力重視」で公式戦初完封を達成した世代No.1右腕

専大松戸vs常葉大菊川 | 高校野球ドットコム
平野 大地(専大松戸)

<センバツ高校野球:専大松戸3-0常葉大菊川>◇22日◇2回戦

 第2試合は専大松戸(千葉)vs常葉大菊川(静岡)の対決が行われ、専大松戸が3対0で勝利した。

 世代No.1右腕・平野 大地投手(3年)は、7安打を打たれながらも完封勝利を挙げた。試合後、平野は「学校として、センバツ初勝利を挙げることができて良かったです」と語る。

 この日は昨年秋の課題を乗り越えた姿があった。関東大会準々決勝の作新学院(栃木)戦で強打の1番打者・高森 風我外野手(3年)に長打を打たれたことで直球をより磨く意識が芽生えた。

 平野は速球を投げる際の意識を変えた。

「とにかく速い球を投げたい!という思いから、力まず、指先にしっかりと力を入れたストレートを投げることを意識しました。求めていたのは回転数の高いストレートです」

 ポテンシャルではなく、しっかりと技術を意識して投げることを考えたのだ。その成果はしっかりと発揮される。直球は最速146キロ。アベレージで135キロ〜143キロで、9イニングの平均球速は139.95キロだった。8回までは平均球速140キロを出し、9回こそ気温が高くなった影響からか、「両足がつっている感じだった」と語るように、球速が落ちていた。それでも明らかに進化が見えた。持丸監督はこう語る。

「以前は速くても打たれたり、前に飛ばされることが多かったんですが、今はファウルがだいぶ増えましたよね」

 持丸監督はさらに甲子園で勝てる投手の特徴を伝えてきた。

「ストレートはスピードではなく、切れだと思っています。150キロだけでは、甲子園では打たれるということをずっと言ってきました」

 平野は持丸監督のアドバイスから回転数の高い直球を投げることを求め、この日は好打者が揃う常葉大菊川相手にも圧倒した。

「初回は様子見で変化球を使っていきましたが、打者がストレートに押されているのが感じられましたので、後半からはストレート主体でいきました」と、打者の反応を見て投球を組み立てるクレバーさが見えた。

 7安打を打たれながらも、四球ゼロの完封勝利。「公式戦だけではなく、練習試合を含めて、初めての完封勝利を挙げることができて、嬉しいです」と語った。

 変化球の使い方にも成長が見えた。この冬、習得してきたのがフォーク。120キロ台のフォークは鋭く落ち、要所で三振を奪うことができた。さらに90キロ台のカーブの使い分けも上手く、「速いストレートに標準を置いている打者に対してはカーブを上手く使うことができた」と、効果的に使えた。

 150キロという数字が注目されるが、「自分はチームが勝つ投球ができればいい」とあくまで勝利に導くことにこだわる。

 3回戦以降も対戦チームのレベルが上がるが、やはり平野の投球に大きく期待がかかるのは間違いない。

(取材=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.14

【春季東京都大会総括】日大三、二松学舎大附など強豪校がノーシードの波乱! 新基準バットでも9本塁打の帝京が驚異の打力で王者に

2024.05.14

【2024夏全国ノーシード校一覧】二松学舎大附、履正社、智辯学園、沖縄尚学などビッグネームがノーシードで夏に挑む

2024.05.14

広島「今季新戦力の現状通信簿」、新外国人の復活はなるか!?

2024.05.14

宗山塁(明大)ら大学ドラフト候補が放つ「強烈なオーラ」は新人アーティストの「ブレイク前夜」を彷彿させる 新連載・一志順夫コラム「白球交差点」vol.2

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.12

学法石川の好捕手・大栄利哉が交流戦で復帰! 実力は攻守ともに世代トップクラス!身長200センチ右腕を攻略し、完封勝利!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?