試合レポート

専大松戸vs明和県央

2022.10.23

専大松戸が強打の捕手の1発などで7回コールド勝ち 攻守の要を担う逸材が2安打2打点の活躍

専大松戸vs明和県央 | 高校野球ドットコム
本塁打を放った専大松戸4番・吉田 慶剛捕手(2年)

<第75回秋季関東地区高校野球大会:専大松戸7-0明和県央(7回コールド)>◇23日◇1回戦◇レジデンシャルスタジアム大宮

 世代屈指の剛腕・平野 大地投手(2年)を擁する専大松戸(千葉)。野手陣もタレント揃いで、投打ともに充実した戦力で千葉を制したが、関東大会初戦も明和県央(群馬)を下した。

 チームを勢いづける4番捕手の働きが特に光った。

 初回、2番・清水 友惺外野手(1年)が先制打を放つと、1死三塁から4番・吉田 慶剛捕手(2年)が初球を左翼席まで運んだ。チームを勢いづけるホームランで、スコアボードにいきなり3点を刻んだ。

 その後の打席も、ヒットを記録するなど2安打2打点。高校通算はまだ7本塁打だが、4番としてきっちりと仕事を果たした。チームもその後、3回に6番・上迫田 優介外野手(2年)のホームランが飛び出し、8安打7得点で、コールド勝利を飾った。

 試合後、持丸監督も「吉田の1発で攻撃のペースがつかめた」と話したように、難しい初戦を制したという意味では、4番・吉田の1発は得点以上に大きかった。

 打った本人は「先発の青野(流果)を楽にさせたいと思って打席に入りました。少し詰まりましたが、打った瞬間は『いった』と思いました」と完ぺきではなかったが、最後まで振り切った打球がスタンドまで届き、マウンドの青野へ最高の援護射撃となった。

 軸足にぐっと重心を乗せてタメを作りつつポイントまで呼び込むと、投手方向に倒していたバットのヘッドを一気に走らせて捉える。反動は少し大きいが、鋭い回転でスイングをすることで上手くインコースへも対応して、快音を響かせていた。実力者が揃う専大松戸のなかでも、4番を任されているのがうなずける。

 捕手としても、能力が優れている。

 イニング間の二塁送球は2秒前後(手動計測)で、まだまだ伸びしろがあるが、握り替えが素早いのが特徴的。捕球位置や、肩の強さに磨きがかかれば、もっとタイムは縮まるはずだ。

 積極的なプレースタイルも光った。2回には、無死一、二塁の場面で、2次リードが大きかった二塁ランナーを見逃さず、すかさず二塁へ送球。挟殺プレーでアウトをもぎ取った。これには青野も「助けられました」と女房役へ感謝の言葉を贈った。

 旧チームでは大型捕手・加藤 大悟捕手(3年)がマスクをかぶっていた。その後を担っているだけに「加藤さんより劣っている」と先輩との差は身に染みて理解していた。だからこそ少しでも差を詰めるために練習を重ねていく中で、「実戦練習を通じて視野が広がった」と、着実にスキルを伸ばし、首脳陣からの信頼を勝ち取った。

 先輩・加藤からのアドバイスも胸に刻んでいる。

 「ピッチャーを輝かせること」という助言を受けて、配球のみならず何度でもマウンドに駆け寄り、投手とコミュニケーションをとっていた。捕手としての気配りがきちんとできており、指揮官・持丸監督も「しっかりピッチャーへ意見を出せますし、間の取り方もいい。野球を知っている選手だと思います」と好評。マウンドにいた青野も「表情豊かで、身振り手振りも多い」と捕手・吉田の良さを話していた。

 次戦の相手、作新学院(栃木)は強敵だが、勝てばセンバツへ大きく前進する。「チームのために1球1打に集中したい」とあくまでチームプレーに徹する。攻守の要となりつつある吉田の活躍は今後も注目だ。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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