試合レポート

拓大紅陵vs流山南

2022.09.19

夏4強の拓大紅陵、4番・小藤田など今チームも強打者揃う

拓大紅陵vs流山南 | 高校野球ドットコム
拓大紅陵4番・小藤田 朔也

<秋季高校野球千葉県大会:拓大紅陵10-0流山南(6回コールド)>◇19日◇1回戦◇県営

 夏の千葉大会でベスト4に入るなど、近年再び千葉県で存在感が際立っている拓大紅陵が、秋季千葉県大会の初戦をコールド勝ちで飾った。

 2回までで9得点を奪う攻撃を見せ、試合の主導権を握った。上位陣を中心に各打者のスイングが秋の段階としては鋭かった。4番に座る小藤田朔也捕手(2年)は、「普段の練習から大きいスイングではなく、コンパクトに振って繋ぐ打線を意識しています」という。

 新チーム発足時は各打者のスイングが大きかったが、コンパクトなスイングでつなぐことをティー打撃から徹底してきた。練習試合を通じて徐々に形になったことに手ごたえをつかみ、この試合で成果が表れた。

 特に上位陣は注目だ。1番・川上輝良内野手(2年)は軸回転でミートポイントまで最短距離でバットを出せる。遊撃の守備も軽快で、安定感がある。2番・菰田朝陽外野手(2年)、3番・今奏都内野手(1年)はともにスイングが鋭い。ミートポイントが手元でも対応できるため、球を見極めることもできていた。

 4番・小藤田は、バットのヘッドを投手へ向けながら、「シャープなスイングのために耳の後ろにバットを持ってきている」というトップから、インサイドアウトで振り抜く。

 新チームから「低く強い打球を打つために、右ひじを使ってバットを外側から出さないようにしてきた」。流山南との一戦でも2打席目まではしっかりとそれができていた。3打席目以降は「ヒットが出たことで安心してしまい、スイングが大きくなった」ことはしっかり反省していた。

 小藤田に限らず、チーム全体も3回以降にフライアウトが増えた。新チーム当初のような大きいスイングで、捉え損ねたことが原因だった。次戦以降、厳しい試合が続くだけに「低く、強い打球で野手の間を抜くチームバッティングをしたい」と改めて打撃の意識を徹底することを誓った。

 一方、拓大紅陵に敗れた流山南は、攻守で力が及ばなかったが、3回から5回は無失点に抑えて守備でリズムを作り、攻撃につなげた。得点には結びつかなかったが、ランナーを得点圏に進めるなど攻守がかみ合った試合展開ができていた。

 エースである山下航輝投手(2年)の働きが大きかった。縦回転のフォームで、しっかりとスピンを利かせて投げようとしていた。1回途中からマウンドに上がり失点をしたものの、3回から5回まで無失点に抑えた。体がまだ出来上がっていないので、最速125キロと物足りないが、筋力が向上してくれば楽しみな投手になりそうだ。

 入学時に球の回転について指導者から指摘を受け、フォームの改善を通じて課題克服に努めた。特に「胸を張ることはアドバイスを受けて大事にしている」と、肩甲骨を寄せる感覚を意識して投げることで、きれいなスピンのかかった直球が投げられるようになった。

 「強豪校に食らいつけるように、チームに貢献できる投手を目指していきます」と春への誓いを立てた山下。そのためにトレーニングによる筋力強化に取り組むが、どんな形で成果として表れるか。春以降も注目していきたい。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.06.15

西東京大会は激戦ブロックが続出!昨夏甲子園出場の日大三は国士舘と同ブロック!【2024年夏の甲子園】

2024.06.15

東東京の横綱に上り詰めた帝京、関東一の軌跡~前田三夫と小倉全由、2人の名将~【東西東京大会50周年物語③】

2024.06.15

【福島】日大東北がサヨナラ勝ち、帝京安積はコールド勝ちで4強入り<春季支部選手権大会>

2024.06.15

今年の東京は「スラッガー大豊作世代」! 超進学校に現れた「プロ入り明言」の二刀流、木製で本塁打量産の早実のスラッガーなどが夏を盛り上げる【注目選手リスト】

2024.06.15

“超不人気”だった東京の高校野球を「3つの出来事」が変えた! 東京ローカルチーム・桜美林の全国制覇、都立高の甲子園出場、そして……【東西東京大会50周年物語②】

2024.06.14

【福岡】九州国際大付は小倉商、東海大福岡は小倉南、春日は大川樟風、福岡大大濠は輝翔館と対戦【2024夏の甲子園】

2024.06.11

センバツ出場・東北のレギュラー左翼手がプロボクサー挑戦へ! エースはENEOS、主力は國學院大、国士舘大などへ進学【卒業生進路】

2024.06.14

15日に夏の甲子園抽選会!超激戦区・愛知が誇る逸材を一挙紹介!素材の宝庫・愛工大名電、中京大中京の149キロ右腕…そしてモイセエフはどこまで成長したのか?今年も全国クラスの逸材が点在!【注目選手リスト】

2024.06.11

【北海道】十勝支部は12日に抽選会!帯広大谷、白樺学園の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.06.11

【北海道】旭川支部の抽選会は12日!旭川実、旭川志峯など強豪の初戦の相手に注目<夏の甲子園予選組み合わせ>

2024.05.21

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.05.21

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在33地区が決定、岩手では花巻東、秋田では横手清陵などがシードを獲得〈5月20日〉

2024.05.19

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在30地区が決定、青森では青森山田、八戸学院光星がシード獲得

2024.05.31

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在34地区が決定、佐賀では佐賀北、唐津商、有田工、龍谷がシードに

2024.05.20

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在31地区が決定、宮城では古川学園、仙台南、岩手では盛岡大附、秋田では秋田商などがシードを獲得