試合レポート

佼成学園vs上野学園

2022.09.04

佼成学園が攻守に一日の長を示して、粘る上野学園を振り切る

佼成学園vs上野学園 | 高校野球ドットコム
最後まで自分の投球をして投げ切った佼成学園・石井

<秋季東京都高校野球大会1次予選:佼成学園9-2上野学園(8回コールド)>◇4日◇1回戦◇佼成学園グラウンド

 今秋の東京都1次予選の初戦の中では、好カードと言っていい試合であろう。佼成学園は2020年の独自大会となった大会で準優勝。2012年夏の西東京大会でも準優勝している。まさに、古豪復活の甲子園出場まで、あと一歩だった。対する上野学園は、野球ではいわば新興勢力という位置づけになるのだが、2019年夏の東東京大会でベスト4に進出して、一気にその存在感を示した。

 この夏は、佼成学園は5回戦まで進出して桜美林に敗れた。上野学園は3回戦で武蔵丘に敗れて悔しさを味わった。そんな両校だが、この秋の1次予選の序盤の試合としては、屈指の好カードの一つと言っていいであろう。それだけに、質の高い試合になるのではという期待も大きかった。

 試合は、いきなり上野学園鈴木 一史の先頭打者本塁打から始まった。佼成学園の石井としては、どんな感じで来るのかなぁとストライクを取りに行ったところをジャストミートで持って行かれたというところでもあった。ただ、これで気持ちが引き締まったのか、石井はその後を連続三振に仕留めるなどして、それほどのダメージはない形で終えた。

 そしてその裏、佼成学園はすぐに先頭の本池が中前打で出てバントで進み、内島が繋いで一、三塁から4番松本の中犠飛で同点とする。そして、2回には2死走者なしから内野安打と四球で走者を溜めて、2番澤井の三塁打で2人をかえして勝ち越し。こうして、試合の主導権を佼成学園が奪っていく形で進んでいく。

 佼成学園は左腕の石井が、シンカーとカーブなど多彩な変化球を駆使して、上手く相手打者を交わしていく。この、変化球が効いているので、直球も打者にとっては速く見えてしまう。こうした、投球の巧みさというか配球の上手さは、田原捕手のリードによるところも大きかったようだ。

 そして、5回には内島の三塁打、松本の二塁打と、中軸の長打で4点を追加。これで、試合そのものは佼成学園の展開となっていく。

 石井は、6回には1死から3連打されて満塁のピンチを迎えるが、ここをしっかりと抑えていったことで、最後まで自分の投球をしていくことができた。藤田直毅監督も、「あの場面はどうしようかと考えていたのですけれども、点差もあったし制球が安定しているので任せたのだけれども、しっかりと投げてくれた」と、無失点に抑えたことを高く評価していた。

 石井に関しては、「この夏で一番伸びた選手。変化球の制球力が高くなったことで、安心できるようになった」と、藤田監督もこの夏の成長を評価している。そして、それに十分に応えるこの日の投球内容だったと言っていいであろう。

 佼成学園は、他にも185センチの長身、林投手がおり、この秋からの新チームは、「投手を軸として守って勝って行くチーム」という形で挑んでいく姿勢である。

 上野学園は、ベンチも元気があってチャレンジしていこうという姿勢が感じられた。この試合に関して言えば、結果としてはコールドゲームという形になってしまった。しかしながら、チームとしては、いいまとまりをしているのではないのかなということは、十分に感じさせてくれた戦い方だった。春季大会からの、浮上を期待したいチームである。

(記事=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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