試合レポート

上野学園vs品川翔英

2022.07.13

初出場の品川翔英、強豪・上野学園に大敗も、聖地・神宮で新たな歴史を刻む

<第104回全国高校野球選手権東東京大会:上野学園20-0品川翔英>◇12日◇2回戦◇[stadium]神宮[/stadium]

 参加チーム数が減少傾向にある中、初出場チームは貴重な存在だ。品川翔英は、女子校の共学化に伴い野球部を結成し、初の公式戦を迎えた。メンバーは1、2年のみ。聖地・[stadium]神宮球場[/stadium]で、同じようにかつては女子校で共学化に伴い野球部を結成し、今では東京の強豪校に成長した上野学園と戦うという、最高の舞台が整った。

 品川翔英の石田寛監督は、高校野球の監督になる夢を持っていたが、一度はあきらめ、サラリーマン生活をしていたものの、やはり夢を捨てきれず、高校の教員になった熱血漢だ。そして高校野球の監督として3つの夢を持っていた。一つは、[stadium]神宮球場[/stadium]で采配をすることで、2つ目は[stadium]神宮球場[/stadium]でノックをすること、3つ目は勝つことだ。[stadium]神宮球場[/stadium]での試合前のミーティングで、「自分が泣いてしまいました」と石田監督。その涙で、選手の気合も入ったという。

 1回表、品川翔英は、上野学園の先発・南波 風輝に対して二飛、三振とあっさり2死になったが、3番・高木 英寿が初球を叩くと、左翼フェンスに当たる二塁打となった。「思い切って振ったら飛んでくれました」と高木。4番・生田 蓮は三振に倒れたが、元気の良さが目立つ1回表の攻撃だった。

 その裏、上野学園は、3番・高倉 希新の二塁打、4番・竹島 翔夢の三塁打で1点を先制したが、この回は、品川翔英の先発・生田の頑張りを感じる立ち上がりであった。

 今年の上野学園は攻撃的なチーム。しかも小川貴智監督はノーサインで選手たちのコミュニケーションに任せている。そして一度火がつくと一気に攻撃する。2回裏は安打2本と四球で満塁になると、1番・大久保 響は死球で押し出し、2番・土肥 虎ノ介の左前安打で2人が生還。この回だけで長短6安打を浴びせ9点を入れた。こうなると打撃練習に近い状態で打ちまくり、3回裏にも9点、4回裏にも1点を入れた。

 点差が開いても、品川翔英の溌剌としたプレーに変わりはない。各打者が積極的に振りに行く。「広い球場なので、ベンチからの指示もよく聞こえませんでしたが、楽しんでプレーができました」と初回に二塁打を打った高木は言う。

 結局20対0の5回コールド。上野学園が貫録をみせての勝利であったが、品川翔英の石田監督が、「怖いもの知らずで、楽しくできました」と言うように、野球の楽しさが伝わってくる戦いぶりであった。メンバーは全員1、2年生だけに、来年もある。これから野球の怖さを感じながらも、成長していくことを期待したい。

 野球を楽しむという点では、上野学園は先輩格だ。メンタルトレーニングに力を入れ、積極的な姿勢で試合に臨んでいる。「この子たちは打つことが好きです。でも基本はピッチャーを中心としたディフェンスです」と上野学園の小川監督。例年に比べ攻撃的だが、基本線は変わらない。幸先のいいスタートを切っただけに、今後の戦いが楽しみだ。

(取材=大島 裕史)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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